目的地まで送ってもらったり迎えに行ったりする送迎は、家族や友人などの少人数であればマイカーやタクシーで済みますが、人数が増えてくると手段に困ってしまいますよね。そんな時タクシーやハイヤーを複数台手配するより安く利用できるのが「送迎バス」です。
この記事では貸切バス手配サービスの「バス旅ねっと」が、送迎バスにはどのような種類があり、どんな時に利用されているのか、費用はどのぐらいで、どのように手配すればよいのかなどを網羅的に解説します。
送迎バスとはどんなバス?
送迎バスには誰がどんな契約をするかによって様々な種類がありますが、一般的に「送迎バス」とは「貸切バス」のことを指します。送迎バスの基本的な利用方法や料金体系が、貸切バスと同じためです。貸切バスとは、運転手付きのバスを1台チャーターできるサービスで大人数の移動で利用されます。ハイヤーやジャンボタクシー1台の乗車定員は運転手を含めて10人ですが、それ以上の乗車人数の時にバスが利用されるのです。
また送迎バスは貸切バスの一部を指している場合もあります。たとえば貸切バスは経由地を自由に設定できるのですが、たくさんのスポットを経由して移動中も楽しむのが観光利用、現地での目的のために出発地から直行するのが送迎利用と呼ばれます。またバス車両には種類があるのですが、その分けにも「送迎バス(送迎仕様貸切バス)」と「観光バス(観光仕様貸切バス)」が使われています。利用方法に適した車両仕様が存在するイメージですね。
近距離向きが送迎バス

送迎バスに分類されるのは、コミューターサイズで13人乗りが基本のミニバスと、27人乗りまで対応のマイクロバスです。この車両の特徴は、小回りが利くコンパクトな車体なため住宅街や観光地など狭い道でも通行できることですが、その反面座席が薄くリクライニングできないため快適性が劣ります。その特徴から、長距離・長時間の乗車には向かず、近距離・短時間の乗車に向いています。
送迎バスが適した利用シーンは、住宅街から出発するような冠婚葬祭の送迎、工場など施設内の視察送迎などです。大きさの都合上、長距離でも送迎バスを利用する場合は、休憩を多めに取るなどの工夫をしましょう。
長距離向きが観光バス

観光バスに分類されるのは、最大60人乗りがある大型バス、27人乗りが基本の中型バス、25人乗りまでがある小型バスです。この車両の特徴は、リクライニングができる快適なシートでトランクやカラオケなどの設備が豊富なことですが、その反面車体が大きいため通行できる道路や駐停車できる場所に制限があります。その特徴から、狭い道路の走行には向かず、大きな道の長時間移動に向いています。
観光バスは行程上に大きさの制限がなければ、観光でも送迎でも快適に利用できます。空港送迎などスーツケースが多い場合は大型バス、VIP送迎や視察送迎などには補助席がなく座席間隔が広い中型バスと、用途に合わせて選びましょう。
送迎バスの種類
このように貸切バスの種類が送迎バスと観光バスが分かれているからといって、使い方に制限があるわけではありません。あくまで車両の仕様として主にどんな使い方に適しているかなので、送迎のために観光バスを利用することも、観光のために送迎バスを利用することもできます。乗車人数・荷物積載量・快適性・道路状況などから総合的に判断して車両を選びましょう。
大型バス | 中型バス | 小型バス | マイクロバス | ミニバス | |
---|---|---|---|---|---|
仕様 | 観光バス | 観光バス | 観光バス | 送迎バス | 送迎バス |
高速料金区分 | 特大車 | 大型車 | 中型車 | 中型車 | 中型車 |
乗車人数 | 53~60人 | 27人 | 21~25人 | 20~27人 | 7~13人 |
スーツケーツ | 30~40個 | 15~20個 | 5~15個 | 0~10個 | 3個 |
1日料金 | 高い | やや高い | 安い | 安い | 安い |
1人料金 | かなり安い | やや高い | 安い | 安い | 高い |
快適性 | 高い | かなり高い | 高い | 低い | 低い |
得意な道 | 高速道路 | 幹線道路 | 市街地 | 観光地・山道 | 住宅街 |
送迎バスの契約パターン
運転手付きの貸切バスは個人でも法人でも自由にチャーターすることができますが、施設が契約した貸切バスをユーザーが利用する場合など、世の中には様々な送迎バスのスタイルがあり、管轄する事業形態や法律が違います。送迎バスにはどんなパターンがあるのか見ていきましょう。
利用者自身が契約する送迎バス
貸切バスの最もポピュラーな使い方は、利用者が自身の目的のために自ら契約するパターンです。送迎バスのよくある利用シーンはこちらです。
公共のシャトルバスやリムジンバス

目的地へ直行で向かうためのバスを送迎バスと呼ぶため、主要駅から空港や大型観光地までの区間を途中停車せずに定期運行する「シャトルバス」は、公共交通機関であっても送迎バスの1つと言えます。ちなみに「リムジンバス」とは、空港シャトルバスに付けられた路線名のため、シャトルバスの1種です。
施設が契約する送迎バス

主要駅と目的地の間を定期運行するシャトルバスは、イベント送迎でもよく使われています。短い距離を15分おきなど何度も往復して送迎することは「ピストン輸送」と呼ばれ、限られた時間内に大量の人を輸送できます。また大型商業店舗やテーマパークといった施設が独自に運行するシャトルバスもあります。これら会社法人が契約する送迎バスは、個人利用と同じ貸切バス契約です。
施設が運転する自家用送迎バス

施設が利用者向けに準備する送迎バスの中には、貸切バスを契約せず自家用車を利用するものもあります。業務用の緑ナンバー車両ではなく白ナンバー車両を使う、いわゆる白バスと呼ばれるものです。こちらは最寄り駅から施設までを無償で送迎するという範囲でのみ可能な方法で、ホテル送迎・式場送迎やゴルフ場送迎のクラブバスでよく用いられています。いくら無償で提供していても、新幹線停車駅からの長距離送迎や、周辺の観光地を周遊するなどは、白バスの範囲外となるため、貸切バスを契約している施設もあります。
学校や法人が契約する特定バス

ホテルやゴルフ場の送迎バスは不特定多数の利用者を送迎するために使われていますが、学校のスクールバスや企業の従業員送迎など特定の利用者に向けて送迎バスを長期運行する場合は、特定バスとして契約をすることができます。この場合は一般貸切旅客自動車運送事業ではなく、特定旅客自動車運送事業の営業許可を得たバス社と契約できるため、国土交通省で定められている貸切バスの基準料金よりも安く利用することができますが、路線は届け出が必要で地域の乗合バスと競合しないかも確認されます。1年未満の期間限定の運行の場合は、通常の貸切バス契約で運行可能です。
送迎バスの運行パターンと料金相場
送迎バスには様々な目的と契約内容があることがわかったところで、貸切バスの契約で送迎バスを利用するする際に、どんな運行パターンがあるのかと料金相場についても見ていきましょう。
片道送迎
集合場所から目的地までの片道だけの送迎で、帰りはバスを利用しない場合が片道送迎です。タクシーの場合は実際に乗車している間だけの料金しかかかりませんが、貸切バスの場合は車両点検時間を含む車庫から出て戻るまでの間すべてに時間料金と距離料金が発生し、最低利用時間もあります。つまり乗客のいない車庫に戻るだけの帰り道(回送)も料金が発生するため、片道と往復はあまり料金が変わりません。とはいえバスに乗る人数が多いほど1人あたりの貸切バス料金はタクシーより安くなるので、団体であればあるほど貸切バスはお得です。
成田空港への片道送迎の料金相場
成田空港~東京23区内ホテル
片道70km(回送含め140km)/片道1時間30分(回送含め3時間)
移動方法 | 料金相場 | 乗車人数 | 1人あたりの料金相場 |
---|---|---|---|
大型バス | 約10~12万 | 40人 | 約2,500~3,000円 |
中型バス | 約8~10万 | 20人 | 約4,000~5,000円 |
マイクロバス | 約7~9万 | 10人 | 約7,000~9,000円 |
タクシー | 約3万 | 4人 | 約7,500円 |
リムジンバス | — | 空席分 | 約3,000円 |
往復送迎
結婚式参加や研修参加など、現地で滞在した後で帰りもバスを利用する場合は往復送迎となります。貸切バスは走っていない時間も運転手は勤務状態にあるため、バス待機中も時間料金が発生します。現地滞在時間が数時間であればそのまま待機してもらった方がいいでしょう。その場合バスに対応した駐車場手配が必要です。
従業員送迎などの場合は、出勤のための朝便と退勤のための夜便は長時間空くので、一旦車庫に戻る2便運行の方が安く済みます。出発地から目的地が遠い場合や、工事現場などバスを休憩場所として使いたい場合などは、車庫に戻さず駐車場で待機させることもできます。
ピストン輸送
短距離で数百人単位の人を運びたい場合、貸切バスを複数台借りるよりも1~2台のバスを何度も往復させた方が安く済みます。ただし拘束時間が長くなり休息時間を確保できないタイムスケジュールの場合は、運転手1名のワンマン運行ではなく運転手2名体勢のツーマン運行となる場合もありますので、目的と予算からベストな方法をバス会社に相談してみましょう。
宿泊送迎
往復送迎で日をまたぐ場合は宿泊送迎となります。貸切バスは待機中も料金が発生しますが、ドライバーのために1泊2食付きの宿を準備し9時間以上の休息時間を確保すれば、その間の料金は発生しません。ただし運行と宿のチェックイン・チェックアウトの間に時間が生じてしまうとそこも待機時間として料金加算されてしまうので、アーリーチェックインやレイトチェックインの手配が必要です。
送迎バスを手配する方法は?
送迎バスは同じ目的地での利用だったとしても運行パターンによって費用がかなり変わることがわかりました。それでは送迎バスを手配するにはどのような方法があるのかも見ておきましょう。
貸切バス事業者に依頼する
個人が直接バス会社に問い合わせて貸切バスの契約をすることができます。貸切バスは出発地の都道府県に届け出のあるバス会社しか利用することができませんので、出発地に合わせてバス会社を探しましょう。昨今は2024年問題などから深刻なバス不足状態にありますので、1軒1軒バス会社を探すのは大変かもしれません。貸切バスの空車確認や予約はできるだけ早めに行いましょう。
特定バス事業者に依頼する
特定バスとしての契約を考えている場合は、特定旅客自動車運送事業の営業許可を得たバス会社を探しましょう。同じルートを定期運行するため審査や監査の基準が緩くバス1台から営業できる特定バス事業者は、小さなバス会社が多いため貸切バス事業者より見つけにくいでしょう。また特定バスに登録したバス車両は他の用途に利用できないため、新規の特定バス運行を受付できるバス会社は少ないかも知れません。
貸切バス手配サービスを利用する
バス旅ねっとのような貸切バス手配サービスは、全国の提携バス会社とバス利用者の間に立つサービスです。バス会社を探したり直接やりとりしなくても、利用内容にマッチするバス会社を探してもらうことができ、行程表作成や駐車場・乗務員宿の代行手配など、送迎バス利用に付随する困りごとへのサポートも受けられるます。初めて送迎バスや貸切バスを利用する場合にも使いやすいでしょう。なお一括見積もりサービスは、希望のエリアと車種に絞ってまとめて見積依頼ができますが、実際のやりとりはバス会社と直接しなければいけませんので、必要に応じて手配サービスと一括見積もりサービスを使い分けた方がよいでしょう。
送迎バスまとめ
送迎バスについてどんな使い方があるのかを詳しく見てきましたがいかがだったでしょうか?個人移動であれば既存のシャトルバス利用が便利ですが、ある程度人数が集まるグループでの団体移動や、シャトルバスや公共交通機関の無い場所にアクセスする場合には、貸切バスサービスでの送迎バスがおすすめです。個人から法人・官公庁まで実績が豊富なバス旅ねっとにご相談いただければ、専任担当がチームを組み、目的にマッチした送迎バスプランをご提案させていただきます。おおよそのスケジュールが決まられている場合は、お見積りフォームからご相談ください。