赤ちゃんを車に乗せる時はチャイルドシートが必要ですが、マイカー以外でどのように対応すべきかわからないことが多くないでしょうか?知人の車で一緒にお出かけする時、レンタカーを借りる時、高速バスに乗車する時、運転手付きの貸切バスをチャーターする時など、様々なケースがありますよね。
この記事では貸切バス手配サービスの「バス旅ねっと」が移動のプロとして、そもそものチャイルドシートに関するルールや種類のお話から、マイカー以外でチャイルドシートを使う場合の注意点、使えない場合の対処法まで、包括的に解説します。この記事を読めば、チャイルドシートに関する疑問がすべて解決しますよ。
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チャイルドシートとは
チャイルドシートは自動車の座席に幼児や小さな子供を安全に固定するための装置で、法律上は「年少者用補助乗車装置」と呼ばれています。大人のように自分の身を守ることが出来ない乳幼児や幼児が車に乗車しても、子供の大きさに合わせたタイプ別の設計がされたチャイルドシートを設置すると、事故時にのリスクを最小限に抑えることができることがわかっています。
そのため2000年4月1日の道路交通法改正で、6歳未満の子供が自動車に乗車する際のチャイルドシート設置が法的に義務付けられました。違反した場合に罰金・罰則はありませんが、運転手に対して交通違反点数1点が加点されます。自分が子供だった頃にはなかったという人は多いかもしれませんが、だからといってチャイルドシートを使わないと、道路交通法違反になってしまうのです。
使用義務が免除されるケースは?
ですがどんな時でも常にチャイルドシートを設置しなければいけないわけではなく、道路交通法施行令の中ではチャイルドシート使用義務が免除されるケースについても、下記のように定められています。
- 車体の構造上チャイルドシートが設置できないとき
古い乗用車や、乗り合いバスなどチャイルドシートを固定するためのシートベルトがない場合など。 - 乗車定員の定義を満たせないとき
大人2人分の席に子ども3人が乗車できるはずが、チャイルドシートによって乗車できない場合など。 - 子供の健康保持上適当でないとき
怪我や病気により、チャイルドシートをつけることができない場合など。 - 子供の身体状態により使用できないとき
著しい肥満などで、チャイルドシートをつけることができない場合など。 - 授乳等の日常的な世話ができないとき
おむつ替えや授乳の際はチャイルドシート使用義務が免除されるが、車両の停止が望ましい。 - バスやタクシーなどの一般旅客運送事業の乗客となるとき
不特定多数を都度乗車させる車両でチャイルドシート設置は現実的でないため。 - 一般旅客運送事業以外の自家用運送車に乗車するとき
過疎地で運行している福祉バスなど、許可を得ている自家用運送車に乗車する場合など。 - 応急救護のため緊急搬送するとき
子供を保護し医療機関や官公署へ送り届ける場合など。
マイカー以外で必要なケースは?
逆にいうと、これらのチャイルドシート使用義務免除のケース以外は、チャイルドシート使用の義務が発生します。具体的な事象を比較してみましょう。
使用義務あり | 使用義務なし |
---|---|
親族が運転する車 知人が運転する車 知人から借りた車 カーシェアリング レンタカー | タクシー ハイヤー 福祉バス、過疎バス 路線バス、コミュニティバス 高速バス、夜行バス ツアーバス 貸切バス |
このような法的にチャイルドシート使用義務がない乗り物を利用するとしても、チャイルドシートを使えた方が安心であることは確かでしょう。実はこの使用義務の無いグループの中で、2つの乗り物はチャイルドシートを使用できる場合があります。どれだかわかりますか?
正解はハイヤーと貸切バスです。他の乗り物は基本的にいつ誰が乗るのか特定できないのに対し、ハイヤーと貸切バスは事前予約が必須の仕組み上、乗客を特定できるという特徴があります。
このうちハイヤー車両は一般的な乗用車と同じ構造のため、チャイルドシート設置が容易なのですが、貸切バスの場合はチャイルドシートが設置できる場合とできない場合がありますので、どのような違いがあるのかは、のちほど詳しく解説いたします。
チャイルドシートには種類がある
貸切バスへのチャイルドシート設置に関するお話の前に、そもそもチャイルドシートにどのような種類と設置方法があるのかを見ておきましょう。
年齢に合わせたチャイルドシート形状
チャイルドシートは「年少者用補助乗車装置」の総称ですが、実際には様々な種類があり、下記の3つに分類できます。
ベビーシート
ベビーシートは、生後すぐから1歳頃までを対象にした形状です。赤ちゃんの背骨の形に合わせた優しい形でまだ首が座っていない赤ちゃんを寝かせたまま乗せることができます。軽量で持ち手が付いているので、車から家や病院へ簡単に移動できることも特徴です。
チャイルドシート
ベビーシートの次のステップとして、首がすわってきた1才から4才頃までの幼児を対象にしたものがチャイルドシートで、ベビーシートと兼用のタイプもあります。乗り降りのしやすい回転式と、安価でコンパクトな固定式の2種類があります。
ジュニアシート
ジュニアシートは、4歳から12歳頃までを対象としており、成長に合わせて背もたれやヘッドレストが調節できるように設計されています。またシートベルトの使用義務がなくなっても、身長が140cm未満の子供はシートベルトが適切に装着されない可能性があるため、高さを補う座面のみのブースターシートというものもあります。
車の規格に合わせた装着方法の違い
チャイルドシートを車に取り付ける際の規格にも種類があります。昔はほとんどがシートベルト固定式でしたが、現在はより安全性の高いISOFIX(アイソフィックス)が主流となっています。詳しく見ていきましょう。
国際標準規格ISOFIX(アイソフィックス)
ISOFIX(アイソフィックス)は、チャイルドシートを車に取り付ける国際標準規格で、2006年から国内標準となりました。2012年7月以降に販売された乗用車は、全車両がISOFIX対応車種となっているため現在はこの装着方法が主流となっています。ISOFIXは座席側の専用コネクタにチャイルドシートを押し込むことで、簡単に取り付けることができるため、シートベルト固定式のような装着ミスが起こりにくくより安全とされています。ただし乗用車以外のキャンピングカーや貸切バスなどの車両はISOFIX非対応となっています。
シートベルト固定タイプ(3点式)
ISOFIX普及前の主流な装着方法が、3点式シートベルト固定タイプです。型式の古い車などでも幅広く取り付けることができるので、現在でも一定の需要があり、ISOFIXとシートベルト併用のものもあります。ISOFIXより取り付けにコツがいりますが、実家や祖父母宅の乗用車であったり、貸切バスを利用する可能性がある場合にはシートベルト固定タイプか、ISOFIX/シートベルト併用を選択するとよいでしょう。
シートベルト固定タイプ(2点式)
シートベルト固定タイプというとほとんどが3点式のことを指しますが、昔は乗用車の後部座席は2点式シートベルトでしたので、チャイルドシートにも2点式タイプも存在はしています。現在2点式/3点式併用のシートベルト対応ラインナップにあるのは、「evenflo(イーブンフロー)」というメーカーだけです。
貸切バスでチャイルドシートを使うには?
チャイルドシートにどのような種類があるか確認したところで、貸切バスでチャイルドシートを使うにはどうすればよいかを見てきましょう。基本的に乗用車用の規格であるISOFIXには対応していませんが、シートベルトの形状に3点式と2点式があるので注意が必要です。
観光バス(大型バス・中型バス・小型バス)の場合
修学旅行やバスツアーで目にするような観光バスタイプの場合、ほとんどが最前列4席のみが3点式シートベルトで、その他の座席は2点式シートベルトとなっています。全席3点式シートベルトのバスをラインナップするバス製造メーカーもあるので、今後そのような車両が増える可能性はありますが、現状はほぼ3点式シートベルトは最前列のみと考えておいてよいでしょう。
送迎バス(マイクロバス・ミニバス)の場合
宿泊施設や介護施設で使われているような送迎バスタイプの場合は、年式や車種により3点式か2点式か異なります。
マイクロバスの仕様
マイクロバスとは定員20名前後で、荷室のないコンパクトなバスです。2012年7月製造以降は全席3点式シートベルトになっていますが、それ以前に製造された車両は全席が2点式シートベルトとなっています。まだまだ古いタイプも現役で動いていますので、事前に確認しましょう。
ミニバスの仕様
ミニバスとはハイエースやキャラバンなどのワンボックスカーの、13人乗りなどロングタイプのことで、テレビ番組のロケバスなどで見かけるような車両です。3ナンバー(乗用)の車両は3点式シートベルトの仕様ですが、貸切バスで使われている2ナンバー(乗合)の車両は2点式シートベルトとなっています。
このようにバス会社が保有しているバスの年式や車種によって、チャイルドシートへの対応が分かれるため、当日突然チャイルドシートを持ち込むということはせず、必ず事前に確認しておきましょう。バス旅ねっとのような貸切バス手配サービスであれば、見積り依頼時などにご相談いただければ、提携する全国のバス会社の中から、チャイルドシートに対応しているバス会社を手配することが可能です。
近年の貸切バス業界は、バス不足・ドライバー不足が社会問題化していますので、チャイルドシート対応バス会社に空車が無い可能性もあります。ご利用を検討している方はお早めにご相談されることをおすすめいたします。スケジュールが決まられている場合は、お見積りフォームからのお問い合わせがスムーズです。
チャイルドシートをレンタルできる?
使用義務の有無に関わらず、チャイルドシートをマイカー以外で使用する場合、状況によっては持ち込みではなく現地でレンタルしたい場合もあるでしょう。移動手段ごとのチャイルドシートレンタル対応についても見ておきましょう。
レンタカーの場合
チャイルドシート使用義務があるため、多くのレンタカー会社でチャイルドシートのレンタルが可能です。予約時に申し込むことで、一緒に借りることができますが、チャイルドシートの数には限りがあるため、早めに確認しておきましょう。
ハイヤーの場合
チャイルドシート使用義務のないハイヤーでは、一部の会社でのみチャイルドシートのレンタルが可能です。ハイヤー会社の中には、出産退院時の送迎のためにベビーシートやチャイルドシートを無料貸出するサービスを展開しているところもあるので、用途に合わせて調べてみてくださいね。
貸切バスの場合
チャイルドシート使用義務がなく、新生児や乳幼児を含まない学校・法人・自治会などの団体での利用が多い貸切バスは、基本的にチャイルドシートレンタル対応をしていません。ごくまれに保有しているバス車両に取り付けができるチャイルドシートを貸し出しているバス会社もありますので、希望する場合は事前に確認してみてください。
チャイルドシートが無いバスに赤ちゃんと乗るには?
このようにバスやタクシーはチャイルドシートの使用義務が免除されているため、チャイルドシートなしで乗車することができますが、チャイルドシートがない状態で赤ちゃんと乗り物に乗るときはどうすればよいのでしょうか。
ベビーカーを使う
選択肢の1つはベビーカーです。ベビーカーマークがついている路線バスであれば、ベビーカーを固定するためのベルトが備わっています。ただし通勤ラッシュなどの混雑時はトラブルの元なので、ベビーカーに乗せたままの利用は控えましょう。
長距離バスや貸切バスの場合は、ベビーカーは折りたたんで荷室に入れなければいけません。
抱っこ紐を使う
バスにチャイルドシートがない場合や、ベビーカーを折りたたんだあとは、フロント装着タイプの抱っこ紐で赤ちゃんを抱いて乗車しましょう。ただし抱っこ紐は大人への負担だけでなく赤ちゃんへの負担もあり、あせも・おむつかぶれ・血行不良・うっ血などの可能性があるため、長時間の使用は控えなければいけません。抱っこ紐のメーカーは2時間以内の使用を推奨しています。
チャイルドシートはバスやタクシーで使える?まとめ
赤ちゃんや小さな子供がいても楽しくお出かけするための手助けとして、チャイルドシートを様々な角度で解説してきましたがいかがだったでしょうか。レンタカーやハイヤーなどは会社によって様々な便利サービスがあるので、利用される地域にどんな会社があるか調べてみてくださいね。貸切バスではなかなか乳幼児向けのサービスはありませんが、シートベルト固定式のチャイルドシートであれば利用できることが多いので、利用の前に相談してみてください。バス旅ねっとは全国対応の貸切バス手配サービスですので、バス会社に1件1件問い合わせをしなくても、バス旅ねっと担当営業にお伝えいただければ全力でサポートさせていただきますよ。お気軽にご相談くださいませ。