貸切バスというと、修学旅行や社員旅行など団体の観光旅行のイメージがありますが、それ以外にも貸切バスが活躍するシーンがたくさんあり、使い方も様々です。
その中から今回ご紹介するのは片道運行。往復運行とは違う片道運行の特徴、料金の仕組み、車種ごとの参考料金、バス料金を安く抑える方法を、貸切バス専門の「バス旅ねっと」がご紹介します。
片道運行について

貸切バスは、合宿、ゴルフ、BBQの送迎時に丸一日ではなく、片道運行で利用されることもあります。それでは、片道運行の特徴と利用事例を紹介します。
片道運行の特徴
片道運行の特徴を3つ紹介します。順番に見てみましょう。
時間に縛られない
片道運行の1つ目の特徴は、時間に縛られないところです。例えば、往路のみバスを利用し、現地で解散すればグループ内でさまざまな意見があったとしても時間に縛られることなく自由に旅行を楽しむことができます。また、往路はバスで行き、復路は新幹線で帰るとまた違った景色を楽しむこともできます。
駐車場を探す負担を省ける
片道運行の2つ目の特徴は、駐車場を探す負担を省けるところです。往復で利用すると目的地滞在中の駐車場を探さなければなりません。しかし、片道であれば「出発地から目的地へ送ってもらう」か「バスが現地に迎えに来て帰着地で降りる」だけなので駐車場の心配も必要ありません。
回送料金がかかる
片道運行の3つ目の特徴は、回送料金が発生するところです。
回送料金とは、主に「①お客様を目的地に送ってから車庫に帰るまでの間」もしくは「②車庫からお客様の現地へ迎えに行くまでの間」で有料道路の使用が必要な場合に発生する通行料のことです。簡単に説明すると、自分たちが乗車していない間で有料道路を使う時の料金ということです。
例えば往路のみの利用で、自分たちが目的地で降りた後、バスが車庫に戻るまでに有料道路の使用が必要な場合は、その分の料金を支払わなければなりません。
①お客様を目的地に送ってから車庫に帰るまでの間

②車庫からお客様の現地へ迎えに行くまでの間

どんな時に片道で利用されているのか

では、どんな時に片道で利用されているのでしょうか。片道運行の利用例を3つ紹介します。
①部活動の試合:往路にみんなでまとまって会場へ行き、復路は試合終了時刻が選手によってバラバラなので現地で解散する。(卓球部・剣道部・弓道部・バドミントン部など)
②会社の宴会:宴会場までは各自で向かい、宴会終了後は会場から最寄り駅までみんなでバスに乗って移動する。
③空港送迎:空港から滞在するホテルへ貸切バスで向かい、現地で数日間観光し、再度空港へ向かう際はホテルのシャトルバスを利用する。
このように、目的によっては片道だけ利用したいという方もいます。上の3つ以外にも片道で利用されることは多数あります。また、貸切バスは運転手付きのため、飲酒していても、運転できる人がいなくても安心して移動ができます。
片道運行の料金の仕組み
片道運行で見積もり料金に含まれるもの/含まれないもの
片道運行では先程説明した回送料金のように、貸切バスの利用料金には含まれず、別費用となるものがあります。では、貸切バスの料金には何が含まれているのか、見てみましょう。
片道運行の場合、貸切バスの料金に含まれるものは基本的にバス車輌の貸切料金、運転手代、燃料費、バス会社加入の保険です。一方で含まれないものが、主に有料道路料金と回送料金です。これらは当日発生する費用になるため貸切バスの料金には含まれません。バス会社や貸切バス専門の旅行会社によっては、これらを含めて見積もりを提示する場合もあります。
バス料金に含まれるもの
- バス車両の貸切料金
- ドライバーの人件費
- ガソリン代
- バス会社による保険(自賠責・任意)
バス料金に含まれないもの
- 有料道路料金
- 回送料金
バス料金の算出方法
貸切バスの料金は基本的に、「走行距離」と「利用時間」によって算出されます。
走行距離は、バス会社の車庫を出発してバス会社の車庫に戻るまでの間を指します。利用時間は、出庫前と帰庫後のそれぞれ1時間の点検と、自分たちが乗車している時間の合計で計算します。
つまり、バス料金は乗車している間で計算するのではなく、バスを走らせた距離と時間で決まるということです。片道運行で例えると、往路しか乗車していなくてもバスは車庫に戻る必要があるため、往復で利用する時と同じ距離で計算することになります。
行程内容が同じでもバス会社によって料金は異なる
貸切バスの料金の算出結果には、上限~下限という範囲があります。バス会社はその範囲内であれば料金を自由に決めることができます。そのため、行程内容が全く同じでもバス会社や時期によって提示される料金は違います。
また、バス会社を管轄する都道府県ごとの運輸局によっても料金は若干異なります。

片道より往復で利用したほうがお得?
貸切バスは行程内容によって、往復で利用するほうが良い場合があります。どんな時に片道より往復で利用するほうが良いのか見てみましょう。
目的地での滞在時間が短い場合は往復利用が良い
利用用途によっては、目的地で2,3時間しか滞在しないということもあるでしょう。
貸切バスの料金を計算する時の走行距離は、片道も往復も全く同じであるため、違いは現地での滞在時間だけです。そのため、現地での滞在時間が短いほど片道利用時とほとんど料金が変わりません。料金を見て、あまり差がないと感じた方は往復の利用に変更する場合もよくあります。

片道運行の参考料金
それでは、片道運行の参考料金を紹介します。今回は、片道25km(走行距離50km)走行した場合と片道75km(走行距離150km)走行した場合を見てみましょう。


このように、近畿エリアより東北や関東エリアは安く、東北や関東エリアより九州エリアのほうが安くなっています。また、大型バス⇒中型バス⇒小型・マイクロ・ミニバスとバスの1台当たりの料金も異なります。小型・マイクロ・ミニバスはすべて中型車区分のため料金が大きく変わることはありません。
バス料金を安く抑える4つの方法
①問い合わせは早めにする
貸切バスは利用日まで、期間に余裕をもって予約をすることで希望の車種やより安くバスを借りることができます。
例えば、飛行機のチケットの場合、早めに問い合わせると希望の席や格安のチケットを選びやすく、日にちが近くなると割高になりますよね。貸切バスも同じように利用日が間際になるほど空車も少なくなります。そのため、問い合わせが遅くなるとほかの予約で満車となり、希望の車種が借りられなかったり、借りられたとしても割高となることがあります。
特に繁忙期は半年前から予約している方も多いため、少なくとも2~3か月前には問い合わせたほうが安心です。
②利用時間や走行距離をできるだけ短くする
先にも紹介した通り、貸切バスは「利用時間」と「走行距離」によって大きく料金が変わります。少しでも料金を抑えたい場合は、立ち寄り場所を少なくしたり、利用時間を短くしましょう。
③人数に合った車種を選ぶ
貸切バスには主に、大型バス、中型バス、小型バス、マイクロバス、ミニバスの5種類があります。それぞれバスの大きさや仕様も異なるため車種ごとに料金が変わります。
そして、当然ながらバス料金は1席単位ではなくバス1台当たりの料金となるため、大きなバスに少人数で乗車すると1人当たりの負担額も高くなります。各車種の定員数に対し、余り過ぎない席数のバス車種を選ぶようにしましょう。
④繁忙期より閑散期を狙う
繁忙期は5月下旬~6月下旬と7月~11月です。これらの時期は、通常時よりも空車が埋まるスピードが早く、希望の車種を借りられない場合があります。12月~1月やゴールデンウィークなどの閑散期を狙えば通常より安く、且つ希望の車種が借りられます。
利用してみたい車種を見つけよう
今回は、貸切バスの片道運行について紹介しました。この記事を読んで「片道で利用してみたい」「往復で利用してみたい!」と少しでも思ってもらえると嬉しいです。貸切バスは、乗車人数やバスの仕様、荷物量など、選び方はそれぞれです。目的が決まったら、利用してみたい車種を探してみましょう。