貸切バスとは運転手付きのバスを法人や個人がチャーターできる仕組みですが、貸切バス料金はバス会社が自由に決められるわけではありません。運賃計算の細かなルールは貸切バス事業者を管理監督している国土交通省によって定められており、その基準額は地方運輸局ごとに異なります。
2014年にこの運賃制度が生まれた背景には、バスブームで起きた重大事故がありました。新たな運賃制度開始から貸切バス業界全体が価格競争から安全性向上を図る方向へシフトしており、2023年にはバス会社の収益の実態調査や長年の問題となっている人材不足を考慮した料金見直しも行われました。この記事では貸切バス専門のバス旅ねっとが、貸切バス料金計算の基本の仕組みとその法改正の歴史について詳しく解説します。
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貸切バス料金は時間と距離で計算される
貸切バス料金計算の元となるのは、地方運輸局ごとに公示されている時間制運賃とキロ制運賃の下限額単価です。この下限額の単価には、バス車両の貸切料金・ドライバーの人件費・ガソリン代・バス会社による保険(自賠責・任意)が含まれています。
もし下限額以下の運賃でバスを運行させてしまうと行政処分の対象となり、貸切バス事業者は一定期間の業務停止、旅行業者が関与している場合は旅行業法に基づく措置が講じられます。そのため貸切バスの料金は、実際の運行で移動する距離と時間から厳密に計算され、行程変更になると再計算や追加料金が必要となります。
時間制運賃とは

1つのバス利用に対し、バス会社の車庫を出発してから戻るまでにかかるすべて時間に、出庫前・帰庫後にそれぞれ1時間ずつ行われる点呼点検時間を加えた合計時間に、時間制運賃の単価を掛けて算出します。バスが走行せず目的地に滞在している時間も含まれます。
時間制運賃は各地方運輸局ごとに異なり、管轄エリアでの人件費相場などを踏まえているため、近畿運輸局が最も高く、沖縄運輸局が最も安い設定です。
キロ制運賃とは

1つのバス利用に対し、バス会社の車庫を出発してから戻るまでにかかる走行距離に、キロ制運賃の単価を掛けて算出します。時間制運賃と異なり、待機中や点検中に料金は発生しません。
キロ制運賃は各地方運輸局ごとに異なり、管轄エリアでの燃料費相場などを踏まえているため、時間単価とは逆に沖縄運輸局が最も高い設定です。
貸切バス料金は変動します
貸切バス料金は下限額で計算されますが、実際には同じバス会社に依頼しても1年を通じて常に一定の料金になるわけではありません。バス車両の台数やドライバーの人員数は有限のため、観光シーズンや週末など需要と供給のバランスによって料金は高くなります。
また昨今では、コロナ禍でのバス会社減少、2024年問題と言われる運送業界の残業時間の制限強化など、慢性的なドライバー不足状態が続いており、路線バスのダイヤにも影響があるほど深刻な社会問題となっています。需要ピーク時にはバス料金が高くなるばかりか、そもそも空車が見つからないことも少なくありません。事前にスケジュールが決まっている貸切バスでしか移動できない団体イベントは特に、できるだけ早くバスを抑えておきましょう。
バス基本料金以外にかかる費用
簡単な運行ルートであれば、時間と距離の基本単価から算出するだけですが、割増対象や運行に関わる実費精算が必要な料金もあります。
貸切バスの割増料金
貸切バス料金計算の中で割増計算されるのはこちらの3項目です。
深夜早朝料金 | 22:00~5:00に係る運行は、その係る時間については2割を限度とした割増料金が適用されます。 |
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交替運転者配置料金 | ドライバー1名で運行可能な時間や距離を超える場合は、ドライバー2名のツーマン運行料金が適用されます。 |
特殊車両料金 | サロンバスやリフトバスなど設備付き車両は、運賃の5割以内の割増しを限度として割増料金が適用されます。 |
実費精算が必要な費用
基本料金と割増料金を含めた貸切バス利用料金は、運行前に支払わなければいけないケースがほとんどですが、貸切バスの運行に付随する費用は当日現地精算となるケースがほとんどです。
- 駐車料金
- 有料道路の通行料金
- バスガイド料金
- フェリー航送運賃
- 乗務員の宿泊代金や食事代関連情報
またこれら駐車場や乗務員宿の手配も利用者側が準備しなければいけないことがほとんどですが、バス旅ねっとのような貸切バス手配を得意とする旅行会社に依頼する場合は、それらの代行手配もすべて任せることができます。
貸切バス特有のルール
貸切バスの料金がどのように計算されているかわかってきたところで、貸切バス特有のルールについても解説しておきます。
バス会社の営業エリアが決まっている
貸切バス事業者は営業区域として届け出をした都道府県を出発する運行しか請けることができません。出発場所によっては同じ都道府県内のバス会社よりも、隣接する他府県のバス会社の方が距離が近い場合もあるかもしれませんが、コストを抑えるため近い方のバス会社を利用するということはできないのです。遠くても出発地の都道府県に配車権のあるバス会社を利用しましょう。
またバス会社の数がそもそも少ない都道府県もありますので、状況によっては出発地から変更しないと貸切バスを利用できないというケースも存在します。バス旅ねっとのような全国に提携バス会社を持つ貸切バス手配サービスを利用すると、そのような特殊なケースにも対応が可能です。
最低利用時間が決まっている
貸切バスをタクシーのようにちょっとそこまで5分などで利用することはできるのでしょうか?利用自体は可能なのですが、最低運賃が3時間と定められているため、点呼点検時間2時間と合わせて最低5時間分の料金は発生します。キロ制運賃には最低距離が設けられていませんが、バス会社車庫から出発・解散場所までの距離は最低かかります。
例えばホテル⇒イベント会場⇒宴会場へと2回の移動が必要だった場合、2回とも貸切バス送迎にしても1回分と料金があまり変わらないこともありますし、現地での滞在時間が長いと大きく料金が変わることもあります。バス旅ねっとにご相談いただければ、経験豊富なスタッフがお客様の状況にベストなご利用内容を提案いたします。
貸切バス公示運賃改定の歴史
冒頭にも少し触れましたが、貸切バスの料金計算の仕組みにはこれまで何度か法改正がありました。昔に貸切バスを利用したことがある方は、2024年以降に貸切バスの見積りを久しぶりにとったらその料金の高さに驚かれることでしょう。なぜ貸切バス料金が高くなったのか簡単に歴史を振り返っておきます。
バスブームと重大事故
貸切バスのサービスは昭和初期に始まり社員旅行などの団体旅行ブームの時期がありました。その後、高速道路の整備に伴い夜行高速バスのブームを経て、2002年2月に乗合バス事業やタクシー事業が免許制から許可制に規制緩和されたことで、規模の小さなバス事業者が一気に増えました。そして生まれたのが格安バスツアーブームです。
現在とは真逆の供給過多状態で生き残るためバス業界は苛烈な低価格競争を強いられました。結果、過労運転を繰り返したドライバーによる事故が多発、2012年4月29日には高速ツアーバスによる死者7名・重軽傷者39名という大惨事が起きました。
この事故を受け管理体制を調査したところ、旅行会社とバス会社の間の力関係など安全を脅かす構造的な問題が明らかとなりました。そこで2014年にできたのが新しい料金制度です。その後2016年1月15日にも死者15名・重軽傷者26名の軽井沢スキーバス事故が起きたことで、旅行会社への罰則も強化されました。
貸切バス運賃に下限額と上限額を設定
従来の貸切バス計算方法は、「時間制運賃」「キロ制運賃」「時間・キロ選択制運賃」「行先別運賃」に加え、配車のための「回送料金」や現地での「待機料金」という実に複雑な計算でしたが、2014年4月に公示された新料金制度では「時間制運賃」「キロ制運賃」に計算方法が1本化されました。さらに点呼点検時間の2時間が最低運賃3時間の外に設定されるようになり、短時間運行によるバス会社の利益圧迫も少なくなりました。
そしてこれらの運賃の単価には下限額と上限額が設けられていたため、季節的な要因で料金が変動したとしても、その幅の中で収まるようになっていました。バス会社の利益は確保され、利用者もそれほど負担がないようになっていたのです。
貸切バス運賃の値上げと上限撤廃
国土交通省は法改正後の2015年から、新料金制度が運用されていく中での実態も調査を続けてきました。その結果、物価高騰・人材不足・車両の買い替えなど、従来の下限額と上限額の範囲内では回収しきれないほどバス会社のコストが増大していることが明らかになりました。そして安全対策基準強化の法改正と働き方改革関連法の猶予期間終了のタイミングである2024年を目前に値上げが決まったのです。
2023年8月25日に公示された新料金制度では、従来の下限額から20~30%高い料金が新たな基準額が設定され、上限額は撤廃されました。つまり新たな基準額を下限として、貸切バス料金は青天井にいくらに設定してもよくなったのです。市場競争の原理から極端に相場よりも高い料金を提示するバス会社は少ないとはいえ、繁忙期のバスがない状況では高い料金でも頼まざるを得ない状況となり、バス会社側が仕事を選ぶようになりがちです。
貸切バスを適正価格で安全に利用するためには?
コストを安く抑えたいからといって単純に値切ったり格安を謳う業者を利用するのは安全面でちょっと心配ですよね。貸切バス見積りを取ったときに想定よりも高い場合は、利用したい行程の中に貸切バスのルール上難しい部分があるかもしれません。できるだけ無理や無駄のないスムーズな運行してもらうためにはどうすれば良いか相談してみた方が良いでしょう。
そのような相談をする場合は、個別のバス会社に毎回同じ説明をして交渉するよりも、バス旅ねっとのような貸切バス専門の旅行会社に依頼するのがおすすめです。バス旅ねっとの担当者に、行程においてどうしても優先したいこと、調整が可能なこと、予算などをお伝えいただければ、最もマッチするバス会社を全国の提携バス会社の中から手配することが可能だからです。貸切バスの一括見積りができるサービスもありますが、見積り依頼はまとめて一度にできるものの、見積回答は各バス会社からバラバラに来るため、細かい相談をしたい時には手間がかかるでしょう。
貸切バスの料金計算方法まとめ
少し難しいお話にもなりましたが、貸切バスの料金計算の仕組みはおわかりいただけましたでしょうか?バス旅ねっとは、貸切バス利用者とバス会社の間に立つサービスとして、誰もがWinWinとなる業界づくりを目指しています。今後も皆様への貸切バスお役立ち情報の発信と、実際の貸切バス利用のサポートに全力で取り組んでまいりますので、貸切バスでお悩みのことは何でもお気軽にご相談ください。実際に貸切バス利用予定が決まられている場合は、お見積りフォームからのお問い合わせがスムーズです。