山口の世界に誇るSAKE文化に触れる1泊2日モデルコース
2024年1月にアメリカ・ニューヨークタイムズ誌が発表した「52 Places to Go in 2024(2024年に行くべき52カ所)」で、日本で選ばれた唯一の都市が山口市でした。京都のような見どころがありながら、まちがコンパクトで混雑していないことが評価されたようです。山口市で1番の観光スポットである「瑠璃光寺五重塔」は、2023年2月から2026年3月まで改装工事中ですので、今回は山口市内の湯田温泉を宿泊ポイントとして、山口が世界に誇る地酒と観光名所を楽しむ貸切バスでモデルコースを組んでみました。
貸切バスは運転手付きでチャーターできるため、お酒好きが集まる旅にぴったりです。ま公共交通機関で直接アクセスしにくいスポットを経路を気にせずめぐることができるのもメリットです。貸切バスは長距離利用をすることもできますが、大阪から山口を観光する場合は新幹線でJR新山口駅などに出てから、現地の貸切バスを利用したほうがスムーズでしょう。帰りは別の新幹線停車駅を利用することもできるため、酒蔵の多い岩国市へ移動するルートを設定しました。
貸切バスで行く山口県おすすめ観光コース
1日目:新山口駅~秋吉台(秋芳洞…景清洞…大正洞)~大嶺酒造Ohmine Shuzou~湯田温泉
2日目:湯田温泉~防府天満宮~獺祭ストア本社蔵~村重酒造(…JR新岩国駅)
山口県の見どころ観光スポット
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1日目午前
秋芳洞
山口市から北西の美祢市にある秋吉台は、国定公園内にある草原の中に白い石灰岩が露出したカルスト台地で、その大きさは日本一を誇ります。約8kmカルストロードを走り抜けたり、円形で360°パノラマの秋吉台展望台に登って絶景を満喫するだけでも見応えがありますが、おすすめは大鍾乳洞です。
秋吉台の南側にある秋芳洞は全国で2番目の大きさですが、観光コースは1kmほどなので見学しやすいでしょう。おすすめは北側にある黒谷入口からスタートし、光と音を使った壁面アート「3億年のトンネル」から下っていき、高さ15mもの「黄金柱」や天井に連なった「傘づくし」、地面に重なる「百枚皿」を順に見ていくルートです。正面入口から出ると、秋芳洞商店街があるので、ここで昼食をとりましょう。
秋吉台の北側には、真っ暗な探検コースもある「景清洞」や、人が1人やっと通れる通路がある「大正洞」がありますので、フルコースで楽しんでもいいですね。 -
1日目午後
大嶺酒造 Ohmine Shuzou
秋吉台西側の田園地帯に、真っ白で四角いスタイリッシュな建物が佇んでいます。これは大嶺酒造の酒蔵カフェで、日本酒のイメージを覆す欧風デザインを取り入れた酒造ですが、実力は確かです。なんと銘柄を隠して品質だけで審査する「SAKE COMPETITION」で、「大嶺 2粒 山田錦」が2023年純米大吟醸酒部門の1位になったのです。大嶺酒造は1822年に創業したのち1955年に休止、2010年から現社長の秋山剛志氏が復活させました。フルーティーでスタイリッシュな日本酒ブランド「Ohmine」は海外セレブに広まり、国内でも注目が高まっています。
日本酒の仕込みに使われているのは日本名水百選にも選ばれている「別府弁天池」の湧き水で、カフェではそのまま試飲できるだけでなく、コーヒーのドリップにも使われていますよ。酒粕チーズケーキや酒粕アイスクリームといっしょにどうぞ。もちろん飲み比べセットなどで日本酒メニューもあり、ガラス越しに醸造タンクや仕込みの様子を見ることができますよ。 -
宿泊
湯田温泉
秋吉台エリアを楽しんだあとは山口市内の湯田温泉へ。室町時代に狐が見つけた温泉と言い伝えられていることから、温泉街には足湯スポットとともに狐モチーフがあちこちに点在しているので、ぶらり歩きも楽しいですよ。幕末の維新志士や詩人・中原中也とのゆかりも深く、歴史好きにもおすすめです。
秋吉台を早めに切り上げて湯田温泉周辺で観光する場合は、定番の瑠璃光寺や常栄寺の他、ステンドグラスの美しい山口サビエル記念聖堂や、明治維新の歴史ミュージアム十朋亭維新館、中原中也記念館などがあります。 -
2日目午前
防府天満宮
山口旅の2日目は東方向へ。全国には菅原道真公を祀る天満宮がたくさんありますが、防府市にある「防府天満宮」は904年創建と最も古い天神様ですので、ぜひ参拝しましょう。
そして酒蔵めぐりの旅で防府天満宮に立ち寄ってほしいのにはもう1つ理由があります。それは敷地内に「酒垂神社(さかたりじんじゃ)」というお酒にまつわる神社があるからです。天神山の巨石から湧き出る水は人々の乾きを癒やしてきましたが、いつしか香り高い美酒に変わったことが道真公のご神威とされ、酒垂山・酒垂岩と祀られるようになりました。酒樽がお賽銭箱になっているなんて、お酒好きにご利益がありそうな神社ですよね。正式には事業繁栄や商売繁盛にご利益があるとされています。 -
2日目午後
岩国市の酒造めぐり
旅の締めくくりは酒造の多い岩国市へ。1番のおすすめは世界の獺祭で知られる旭酒造の「獺祭ストア本社蔵」です。山あいにある小さな酒蔵が、いまや日本で最も蔵人が多い酒造メーカーへと成長し、本社ビルが丸々酒蔵となっています。酒蔵見学というより工場見学のようですね。本社ビルの近くには世界的建築家・隈研吾が手掛けた木のぬくもりを感じる直営ショップがあり、日本酒のお試しセットや珍しい獺祭焼酎などがラインナップされています。獺祭アイスや獺祭チョコなどのスイーツや、オリジナルグッズも人気ですよ。
JR新岩国駅から徒歩5分ほどの位置には、辛口の「村重」で知られる村重酒造があるので、最終目的地におすすめです。こちらは最新鋭の大嶺酒造や旭酒造と違い、昔ながらの趣です。蔵見学はできませんが直売所で酒造りの動画が上映されていますよ。ちなみに敷地内にある大杉玉「玲瓏」は日本一の大きさだそうです。
岩国市といえば有名なのが錦帯橋。この近くにも「五橋」の酒井酒造や「雁木」の八百新酒造がありますので、周辺の散策をコースにプラスしてもいいですね。