顧客ロイヤルティをLTVに繋げるには?基礎知識からイベント企画のノウハウまで

顧客ロイヤルティ構築でLTV向上


販促や企画を担当されているみなさんは、SNSや口コミなどユーザー発信の情報が溢れている世の中で、既存顧客の「引き止め」や「ファン化」の難しさを日々感じていることでしょう。割引やポイント付与といった目先の施策だけでは、顧客の心を掴み続けることはできません。

ファン化の鍵となるのは、顧客がブランドに対して抱く、他には変えられないほどの愛着や信頼という情緒的な結びつきである「顧客ロイヤルティ」です。このような深い絆は、コストをかけたりツールを使って簡単に得られるものではありませんが、逆にいえばアイデアしだいで競合が真似できない無形の価値を提供することが可能になり、LTV(顧客生涯価値)への貢献も期待できます。

そこでこの記事では、企業向け移動ソリューションを提供する「バス旅ねっと」が、顧客ロイヤルティの基礎知識と全体像から、絆を深めるリアルな接点づくりのノウハウ、そして実行後の効果測定と改善サイクルまでを、網羅的に分かりやすく解説します。

顧客ロイヤルティとは

顧客にフォーカスした戦略

顧客ロイヤルティ(Customer Loyalty)とは、単に商品やサービスに「満足している」という状態を超え、「この企業(ブランド)を選び続けたい」という強い愛着と信頼に基づいた結びつきを指します。

この概念は、顧客満足度(CS:Customer Satisfaction)とは明確に区別されます。顧客満足度が高くても、価格や利便性が優る競合他社が現れれば、顧客は容易に乗り換えてしまう可能性があります。一方、顧客ロイヤルティが高い状態とは、多少の不便さや競合の魅力的なオファーがあっても、自社のブランドを選び続けてくれるという、感情的なつながりが深く根付いている状態です。

企業にとって、顧客ロイヤルティの向上は、持続可能な成長に直結します。ロイヤルな顧客は、以下の点で企業に大きな貢献をもたらします。

  • LTV(顧客生涯価値)の最大化
    信頼が深いロイヤル顧客は、アップセルやクロスセルに積極的になり、平均購入単価(AOV)を向上させます。また他社に流されず離脱率(チャーンレート)が下がるため、取引継続期間が長期化し、結果としてLTVが最大化します。
  • 安定した収益基盤
    顧客ロイヤルティは、リピート購入による予測可能性の高い収益をもたらします。これにより、市場環境の短期的な変動に収益が左右されにくくなり、新規顧客に依存しない安定した事業成長の土台を築きます。
  • 新規顧客の獲得コスト削減
    ブランドに愛着を持つ顧客は、自発的に友人や知人にサービスを推奨するプロモーターとなります。このような紹介による新規顧客獲得は、広告費がかからないため最も費用対効果の高い方法です。顧客ロイヤルティは無料の広告塔として機能するといえます。

つまり、顧客ロイヤルティとは、価格競争から企業を解放し、ブランドの無形の価値によって収益を生み出し続けるための、最も重要な経営資源なのです。

顧客ロイヤルティの2つの側面

この顧客ロイヤルティは、単に「愛着がある」という心理だけで語ることはできません。顧客がそこから商品購入やサービス利用という行動に進み、ビジネス貢献してはじめて真のロイヤルティといえます。心理的な感覚だけでは「好きだけど買わない顧客」、行動しているだけでは「惰性で買っている顧客」になってしまうからです。

心理ロイヤルティ

顧客がブランドに対して抱く、信頼・愛着・共感といった情緒的な結びつきが心理ロイヤルティです。これは「この企業が好きだから使い続けたい」というポジティブな感情や心理状態を示します。心理ロイヤルティが強固であるほど、競合他社が多少優れた製品やサービスを提示しても、顧客は簡単に乗り換えたりしません。

行動ロイヤルティ

心理ロイヤルティの結果として表れる、具体的な行動が行動ロイヤルティです。これは継続的な購入(リピート)やより高額な商品やサービスの購入(アップセル・クロスセル)、そして友人や同僚への積極的な推奨(クチコミ)などにあたります。この行動ロイヤルティは収益に直結するため、企業にとって最も重要なのは、心理ロイヤルティをいかに具体的な行動ロイヤルティに結びつけるかの施策です。

心理ロイヤルティを生む要素

心理ロイヤルティは単に「良い製品」を提供しただけで生まれるものではありません。それには下記のような、顧客の期待を上回る体験や、企業との精神的なつながりが必要です。

  • 顧客体験(CX)
    顧客が商品やサービスを実際に使うシーンだけでなく、そこに至るまでの広告認知から利用後のサポートなど、すべての接点において顧客が感じる体験の総体が顧客体験(CX:Customer Experience)です。機能的な満足度に加え、手続きの煩雑さがないか、対応が一貫しているかといった「心地よさ」の提供が、心理ロイヤルティを生じさせます。
  • パーソナライズされたサービス
    顧客をその他大勢のうちの1人としてではなく、特徴を持った「個」として認識し、そのニーズや過去の行動に基づいて最適化されたサービスやコミュニケーションを提供することがパーソナライズです。顧客が「自分を理解してくれている」と感じる特別感が生まれることで、ブランドへの愛着が格段に増します。
  • 企業理念への共感
    製品の機能やサービスそのものではなく、「なぜこの企業が存在するのか」「どのような社会貢献を目指しているのか」といった企業の理念やストーリーに顧客が共感し、応援したいと感じる結びつきです。特に社会貢献活動や持続可能性への取り組みなど、共感できる価値観を持つことで、顧客は単なる消費者ではなく、ブランドの「仲間」という意識を持つようになります。

行動ロイヤルティにつなげる施策

心理的な愛着や信頼(心理ロイヤルティ)が生まれたのち、その心理的絆が具体的な購買行動や推奨行動に結びつくためには、下記のような戦略的な施策が必要です。

  • サービスやサポートの強化
    問題発生時の迅速かつ誠実なサポートは、ブランドへの信頼を決定づける最も重要な要素の一つです。顧客は製品の機能だけでなく、困ったときの企業の対応の質を見ています。期待を上回るサポート対応は、安心して購買行動に進むきっけけとなります。
  • 会員プログラムの導入
    ロイヤルティの高い顧客を優遇する仕組み(ポイント、ランク、限定特典など)を導入することで、継続的な行動を促し、優越感と特別感を提供します。ロイヤルティが高いほど得られるメリットが大きくなる設計にすることで、顧客の囲い込みとLTV向上を目指します。
  • コミュニティの形成
    顧客同士がブランドを介して交流できる場(公式SNSアカウント、オンラインフォーラム、ユーザー会、交流イベントなど)を提供することで、「ブランド=自分の居場所」という意識が芽生えます。企業と顧客の関係だけでなく、顧客同士の絆が生まれることで、強固で自然発生的な行動ロイヤルティに繋がります。
  • リアルイベントの企画
    従来のオンラインコミュニケーションだけでは築けない、対面による強固な人間関係と絆を顧客と構築します。ブランドの世界観を体現する場で顧客と直接向き合うことで、強い感情的結びつきを生み出すことが可能です。この対面の力は、その後の製品購入や友人への推奨意欲を格段に高める、有効な施策となります。

顧客ロイヤルティ向上のためのイベント設計

顧客イベント企画「ワイン勉強会」

顧客ロイヤルティ戦略において、リアルイベントは特別な役割を担います。デジタル上では代替できない対面かつ五感に訴えかける体験は、顧客の記憶に深く刻まれ、ブランドとの絆を一気に強固なものにする力を持っています。本章では、イベントを単なる交流会で終わらせず、ロイヤル顧客の生涯価値を最大化する「戦略的な投資」へと変革するための、明確な設計原則と具体的なアイデアを解説します。

イベント企画の戦略と原則

リアルイベントは強力な施策である反面、企画実行に時間とコストがかかります。ビジネス目標達成のための手段として機能させるために、何を目的に企画するのかの明確な戦略的な位置づけを行ないましょう。

顧客ロイヤルティを高めるイベントの種類

イベントを企画する目的は、単に顧客を楽しませることではなく、企業のビジネス目標ロイヤルティ戦略に貢献することです。そのためには、目的とするロイヤルティの側面(心理的か、行動的か)や、対象とする顧客層(既存顧客か、優良顧客か)に応じて、最適なイベント形式を選ぶ必要があります。以下に、顧客ロイヤルティ向上に効果的なイベントの種類と、それぞれの目的について解説します。

イベントの種類主な目的具体例
知識提供型イベント顧客の成功支援、継続利用の動機付け・専門家によるセミナー
・活用講座
コミュニティ形成イベント顧客間の絆の構築、帰属意識の醸成・ファンミーティング
・ユーザー交流会
感謝イベント感謝の伝達と情緒的な再認識・ディナーパーティー
・周年パーティー
体験・共創型イベント深い理解と愛着の醸成・ワークショップ
・製品開発会議への参加
企業理念/ビジョン共有会共感性の獲得、信頼の深化・トップとの対話会
・未来戦略発表会
ロイヤル顧客限定優遇イベント優越感や特別感の提供・先行体験会
・シークレットツアー

顧客ロイヤルティの原則と定義

これらの顧客ロイヤルティ向上のためのイベントを成功させるには、企画の基礎に2つの要素があり、ロイヤルティを築くための「土台」と「飛躍」を表していることへの理解が必要です。

品質と価値という2つの要素

イベント企画の基礎となる2つの要素とは、品質と価値です。品質を保証することで不満や不快感などのストレスは軽減され、イベントの最低限の信頼を担保する「土台」となります。そして価値を創造することで、顧客の期待を上回り記憶に残る感動を生み出す「飛躍」となります。どちらか一方が欠けても、真のロイヤルティ向上は期待できません。

品質保証がイベント企画の土台

顧客の受けるストレスは、イベントの華やかな演出を全て無効にしてしまいます。品質保証とは、華美な装飾よりも優先すべき、参加者が感じる「不快」「不安」「手間」といったストレス要因をゼロにすることです。受付、待機時間、移動、会場の設備といった、イベントの「非コア」な体験におけるストレスを徹底的に排除することが、ブランドへの信頼を維持し、ロイヤルティが低下しないための絶対条件となります。

価値創造がイベント飛躍の鍵

価値創造とは、単なるサービス提供ではなく、顧客の期待を大きく上回るサプライズや優越感、または顧客がブランドへ貢献できる機会を提供することで、記憶に残る「特別な体験」を作り出すことです。具体的には、限定情報の公開、経営層との深い交流、パーソナライズされたおもてなしなど、顧客に「自分は大切にされている」と感じさせ、情緒的な絆を確固たるものにすることを定義します。

イベント企画のアイデア

どのような種類のイベントを実施するかが決まったら、これらの品質と価値を高めるための「特別な仕掛け」を設計しましょう。具体的な演出例をご紹介します。

アイデア具体的な演出
ストレス管理・受付での待ち時間をゼロにする仕組み
・手荷物預かりの迅速化
・会場までの送迎手配
個別パーソナライズ・会場での名前での呼びかけや名札配布
・手書きの個別メッセージ
・過去の利用データに基づいた特典の付与
限定コンテンツ・ベータ版機能など未公開情報の先行共有
・開発者の秘話や失敗談公開
・経営層が未来を語るストーリーテリング
優遇サプライズ・ロイヤルティランクに応じた入場や着席の優遇
・事前の期待値を上回る限定ギフト
・ブランドゆかりの特別ゲストの登壇
共創フィードバック・イベント内で顧客アンケートの結果を発表
・新製品採用プロセスでの意見反映を可視化
顧客コミュニティ・開発責任者とのフリー交流セッション
・顧客交流のためのテーマ別座席配置
・顧客交流のためのアイスブレイク

イベント企画におけるリスク対応

リアルイベントは、オンライン施策では到達できない強固なロイヤルティを築く最高の機会ですが、企画の失敗は顧客の信頼を一瞬で破壊するという大きなリスクを伴います。特に、移動や受付、飲食といったイベントの「非コアなオペレーション」における些細な不満が、顧客ロイヤルティを致命的に傷つける原因となります。この章では、このリスクを軽減するための事前対策と、外部リソースを活用した具体的なノウハウを解説します。

イベント企画は諸刃の剣

イベントは「期待」という感情を伴うため、その期待を裏切った際の失望は計り知れません。わずかな不手際やストレスは、築き上げたロイヤルティを一瞬で崩壊させてしまいます。このリスクを理解することが、ロイヤルティ戦略を成功させるための最初の心構えです。

  • 非コア業務で信頼を失うリスク
    ロイヤルティ破壊のリスクはイベントの「非コア体験」、つまり企画自体の体験ではない部分のオペレーション体験に潜んでいます。会場までの移動、受付、待機時間、飲食といった要素でのわずかなストレスが、企業への信頼を大きく損なう決定的な要因となります。
  • 非コア業務品質の「不快感ゼロ」効果
    顧客のロイヤルティを確実に守るためには、華やかなコンテンツよりも、見えない裏側のオペレーションにこそ戦略的なリソースを投下する必要があります。コアな体験に集中しすぎ、非コア業務がおろそかになると、顧客は「この企業は細部にまで配慮できない」と判断します。信頼を維持するためのこの「裏側への投資」こそが、品質保証の徹底であり、次の費用対効果の議論へと繋がる基盤です。
  • 品質とコストのバランス
    ロイヤルティ破壊を防ぐ品質保証は不可欠ですが、無制限な品質追求はコストを増大させ、事業の持続可能性を脅かします。そのため、投下コストに対するリターンである費用対効果(ROI:Return on Investment)を評価軸とすることで、どこまで品質を高めるべきかを適切に判断しましょう。

品質を担保するための事前準備とオペレーション

さきほど「裏側への投資」が重要であることに触れましたが、これを単なる計画で終わらせず、実行に移すことが重要です。当日の華やかなコンテンツ以上に、事前準備とオペレーションの確実な品質が不可欠です。これらは、ロイヤルティ戦略における最重要の防衛線として機能します。

  • 事前準備と情報提供の明確化
    顧客の不安を解消し、期待感を適切に醸成するためには、シームレスな体験を可能にする情報提供が鍵です。会場へのアクセス、持ち物、時間といった基本情報は、過剰なほど丁寧に、複数のチャネル(メール、Webサイト、専用アプリなど)で提供すべきです。特に、緊急時の連絡先や対応策を明記することは、顧客の安心感に直結します。
  • オペレーションと環境の最適化
    当日のスムーズな顧客体験を保証するためには、物理的な環境と運営の流れを徹底的に最適化します。受付での待ち時間を発生させない動線設計、休憩スペース、清潔で十分な数の基本設備の確保が必須です。また、参加者の体調不良や緊急事態への迅速な対応フローを確立し、顧客が予期せぬストレスを感じる隙を与えないよう管理します。
  • スタッフとホスピタリティの徹底
    イベントの成功は、最終的に顧客と接するスタッフの質に大きく依存します。すべてのスタッフがブランドの理念を理解し、一貫したホスピタリティを提供できるよう、事前の研修を徹底する必要があります。顧客の名前を呼んで挨拶する、困っている参加者に積極的に声をかける、質問に対して迅速かつ正確に応答するといった、「人」による温かい配慮が、心理ロイヤルティの最後の一押しとなります。

外部リソースを活用した品質担保と価値創造

顧客ロイヤルティを高めるリアルイベントを成功に導くためには、外部の専門知識やサービスを戦略的に活用することが鍵となります。特に顧客からの信頼度を左右するイベントの「非コア業務」において、外部リソースを活用することで、自社だけでは実現が難しい、高度な「品質の担保」と「価値の創造」の両立が可能になります。

飲食サービスの活用(ケータリング)

イベントケータリングで食事のおもてなし

ディナーパーティーや長時間のワークショップなど、食事や休憩を伴うすべてのイベントで、飲食の質は直接的な満足度に繋がります。この種の企画では、飲食の品質と安全管理が顧客体験の基盤となります。

質の高い専門ケータリングサービスを活用することで、衛生管理やアレルギー対応、食材の適切な温度管理といった、自社では担保しにくい食の安全と品質をプロに保証させることができます。これにより、顧客に不快感や健康上のリスクを与える可能性をゼロに近づけ、イベントの最低限の品質を担保します。

また単に食事を提供するだけでなく、イベントのテーマやブランドのメッセージに合わせた特別感のあるメニューを企画することで、体験の価値も向上できます。例えば、ブランドのストーリーをモチーフにしたデザートや地域特産品を取り入れたメニューは、会話のきっかけとなり、記憶に残る感動と優越感を提供できるでしょう。

移動時間のおもてなし時間への活用

ハイグレードバスでのVIP送迎のおもてなし

企業関連の施設やロケーションにこだわったイベント会場でイベントを開催する場合、そのアクセス手段を準備しておくことは、顧客の移動に伴うストレス軽減に役立ちます。

アクセス手段としては、人数に合わせたサイズのバス車両を運転手付きでチャーターできる貸切バスなどの移動ソリューションの活用がおすすめです。集合場所から会場まで直行送迎できるため、顧客は公共交通機関の乗り換えや遅延、道に迷う不安がなくなります。

またアクセスしやすい都心での開催であっても、ロイヤル顧客限定イベントなどではおもてなしの一環としてVIP送迎バスの活用がおすすめです。会場までの移動時間を使って、車内でのブランドメッセージのプロモーション、未公開限定動画の車内モニターでの上映、企業ロゴ入りアメニティや飲料の提供など、イベントへの期待感を高める特別な体験を、移動中から生むことができます。

演出機材や体験機材の活用

イベントホールでの演出プラン

企業理念共有会や新機能発表会、感動的な感謝イベントなど、顧客の感情を強く動かす印象的な演出が必要な場面では、専門的な機材と技術を用いてコンテンツの魅力を最大限に引き出しましょう。

プロの音響や照明、映像の専門業者を導入することで、音声が聞き取れない、映像が途切れるといった技術的なトラブルを未然に防ぎます。これによりコンテンツのメッセージが確実に伝達され、イベント全体のプロフェッショナルな品質も担保できます。

またVRやプロジェクションマッピングなどの没入感の高い最新技術を駆使することで、五感に訴えかける感動体験を作り出すことも可能です。これらで得た感動は顧客の記憶に残るとともに、周囲への伝達やSNSへの発信などにも繋がるでしょう。

パーソナライズギフトの活用

顧客に合わせたパーソナライズギフト

イベントのフィナーレはロイヤルティ定着のための重要な機会です。参加者全員に同じノベルティを配るのではなく、顧客一人ひとりに合わせた個別カスタマイズギフトを用意しましょう。このような特別感の演出には、専門業者への依頼が必要となりますが、イベント全体の印象がより良くなるでしょう。

ギフトの個別対応を実現できる専門業者に依頼すれば、ロイヤルティランク別のカラーやデザイン変更だけでなく、記念品への顧客名やイニシャルの刻印などが可能になります。またイベント当日の写真撮影や似顔絵作成の企画実施とともに、そのデータを使った後日ギフト送付など様々な活用方法があります。

制作されたギフトをリアルイベントでお渡しするのであれば、心を込めた手書きメッセージを添えたり、運営スタッフが直接感謝を込めて手渡したりといった、おもてなしの演出もさらにギフトの価値を高めるでしょう。このようなイベントの感動を凝縮したギフトは、顧客が帰宅後もイベントを思い出すきっかけとなり、企業への愛着継続からLTV向上にも繋がるでしょう。

顧客ロイヤルティ施策継続のための効果測定

イベントを通じて顧客の熱意を高めることに成功しても、その効果を測定し、施策を改善し続けなければ、ロイヤルティは徐々に冷めてしまいます。ロイヤルティ戦略を単なる「顧客サービス」で終わらせず、LTV向上に貢献する戦略的な投資として機能させるためには、PDCAサイクルの確立が不可欠です。この章では、イベント後の顧客心理と行動の変化を正確に捉えるための具体的な指標、データの活用方法、そして高めた熱意を冷まさずに次の行動へ繋げるためのアフターフォロー施策について解説します。

顧客ロイヤルティ効果測定のための指標

イベントやその他のロイヤルティ施策が、実際に顧客の「愛着や信頼」を高め、企業の収益に貢献したかを客観的に評価するためには、適切な指標が必要です。ロイヤルティ測定指標は、「心理的な変化(アンケート)」と「具体的な行動の変化(データ追跡)」の二つの側面から捉える必要があります。

アンケートによるリアルな指標

顧客ロイヤルティ施策の効果を測る上で、アンケートは、顧客のサービスや製品に対する継続的な意図といった「生の声」を聴取する重要な手段です。リアルイベントや対面施策は、参加者の物理的な滞在時間を確保できるため、ロイヤルティの本質に関わる心理的な指標を測定する最適な機会となります。

また下記表のNPS(顧客推奨度)の応用として、E-NPS(従業員ロイヤルティ)という概念があります。顧客ロイヤルティの向上は、顧客に直接接する従業員のモチベーションに依存するため重要な指標です。

指標調査方法算出方法
NPS (Net Promoter Score)
顧客推奨度
他者への推奨度を11段階(0~10)で調査
10~9:推奨者
7〜 8:中立者
0〜 6:批判者
推奨者(%)–  批判者(%)=  NPS
+30以上:優良
0 ~ -30:平均
-30未満:要改善
CSAT (Customer Satisfaction Score)
顧客満足度
特定の体験に対する満足度を5段階で調査
4~5:満足
1~3:不満
満足回答者(%)= CSAT
80%以上:優良
60%未満:要改善
CES (Customer Effort Score)
顧客努力度スコア
サービス利用時の労力を7段階で調査
1~2:スムーズ
3〜4:やや努力が必要
5〜7:困難
スムーズ回答者(%)– 困難回答者(%) = CES
+100が目標
CSI (Customer Satisfaction Index)
顧客満足度指数
下記5項目を基準にした質問の0~100点評価を調査
・顧客期待値
・顧客不満度
・顧客忠実度
・知覚品質
・知覚値
評価スコア総数 ÷ 回答者数 = CSI
JCSI (Japanese Customer Satisfaction Index)
日本版顧客満足度指数
下記の6項目を基準にした業界ごとの質問で比較調査
・顧客期待
・知覚品質
・知覚価値
・顧客満足
・クチコミ
・顧客ロイヤルティ
業界ごとの自社ポジション把握に使用

行動データ追跡による長期的な指標

アンケートによる心理指標が施策直後の効果を測るのに対し、行動データ追跡による指標は、ロイヤルティ施策が企業の収益や持続的な成長にどれだけ貢献しているかを証明するために不可欠です。これらの指標は、イベント参加者グループと非参加者グループのデータを比較することで、施策がLTVに与えた影響を客観的に検証するために用いられます。

指標定義算出方法
LTV (Life Time Value)
顧客生涯価値
顧客が取引期間全体を通じて企業にもたらす金銭的な価値の総額。平均顧客単価 × 利益率 × 年間購買頻度 × 継続期間 = LTV
CRR (Customer Retention Rate)
顧客維持率
特定の期間内に顧客を維持できた割合。顧客の定着率を示す。(期間終了時の総顧客数 – 期間内の増加新規顧客数)÷ 期間開始時の顧客総数 × 100 = CRR
チャーンレート(Churn Rate)
顧客解約率
特定の期間内にサービスや製品の利用を停止した顧客の割合。離脱リスクを示す。(一定期間の解約顧客数 ÷ 期間開始時の顧客総数)× 100 = チャーンレート
AOV (Average Order Value)
平均注文単価
1回の注文(取引)あたりの平均的な売上金額。アップセルやクロスセルの成功度を示す。総売上 ÷ 総注文数 = AOV

顧客ロイヤルティデータの活用

イベントや施策を通じて収集した顧客ロイヤルティデータ(NPS、LTV、CSATなど)は、集計して終わりではありません。これらのデータは、顧客の真のニーズを浮き彫りにし、次なるアクションや製品・サービスの改善に活かすための重要な資産です。データを戦略的に活用することで、施策を単なる「おもてなし」から「事業成長を牽引するエンジン」へと進化させることができます。

  • 顧客の声からの改善
    アンケートで収集されたNPSの批判者やCSATの不満層のコメントは、製品・サービスのボトルネックを示す貴重な情報源です。特にNPSの評価理由のフリーコメントは、顧客の感情が伴う「生の声」であり、ロイヤルティ阻害の根本原因特定に繋がります。これらの定性データを深く分析し、開発・サポート部門と共有することで、優先度の高い改善アクションを実施。このデータ活用は、顧客の不満解消とチャーンレート低下に直結する、最も基本的な施策です。
  • セグメント分析によるパーソナライズ
    ロイヤルティ指標(NPSなど)と行動データ(LTV、AOVなど)を組み合わせ、顧客をロイヤルティと収益性の両面からセグメント化できます。「NPSが高くLTVも高い」真のロイヤル顧客には特別な優遇を提供し、「NPSは高いがLTVが低い」層にはパーソナライズされたアップセル・クロスセルで収益性向上を狙います。このセグメント分析は、限られたリソースを効果的に配分し、施策の投資対効果を最大化します。

顧客の熱を冷まさないための施策

イベントやその他のロイヤルティ施策で一時的に高まった顧客の熱意は、時間が経つにつれて必ず冷めていきます。施策を真にLTV向上に結びつけるためには、その熱が冷めないうちに、次の行動へ誘導するための戦略的なアフターフォローが不可欠です。測定した心理指標や行動データを活用し、パーソナライズされた継続的なタッチポイントを設けることが、ロイヤルティを定着させる鍵となります。

  • 施策後の迅速なアフターフォロー
    顧客の感動が薄れる前に、施策効果を最大化する迅速なアクションが必要です。これは単なるお礼メールではなく、施策の具体的成果や顧客が関心を持ったコンテンツ情報を含めます。特に推奨者には、スムーズに推奨行動(口コミや紹介)を起こせるよう、共有コンテンツや紹介プログラムの情報提供が有効です。施策で解決した課題に触れることは、企業が顧客の声に真摯に向き合う姿勢を示すことに繋がります。
  • パーソナライズされた定期アクション
    ロイヤルティは、一度のイベントではなく継続的な関係性の構築によって築かれます。顧客の購買履歴、ロイヤルティランク、LTVなどのデータに基づき、個々の顧客に合わせた情報や優待を定期的に提供しましょう。例えば、ヘビーユーザーには関連製品の先行情報を、不満度が高かった顧客には特別なサポート窓口を案内するなど、データに基づく配慮が心理ロイヤルティを維持し、「特別な顧客」意識を高めます。
  • 期待に応える特別なアクション
    ロイヤル顧客の心理的満足度を飛躍的に向上させるのは、「自分のことを理解してくれている」と感じる瞬間です。これには、サプライズや通常のサービスレベルを超えた特別なアクションを計画しましょう。例えば、記念日や節目に合わせた特別なギフト送付や、問題発生前に解決策を提示する「プロアクティブなサポート」を実施。この予期せぬ喜びが、顧客の信頼と愛着を強固にし、サービス推奨の強力な動機付けとなります。

顧客ロイヤルティ向上ノウハウまとめ

顧客ロイヤルティ向上は目先の手段では限界があるものの、アイデア次第でその可能性が無限大であることを、基礎概念から解説してきましたがいかがだったでしょうか。顧客ロイヤルティはこのサービスや商品を使いたいという心理側面だけでなく、それを継続利用したり人に勧めるという行動側面の2つで成り立っていますので、心を動かすための施策だけでなく、その反応や結果を指標で測定することも重要であることをご理解いただけたと思います。この記事でご紹介した、リアルイベントの具体例やノウハウなどが、みなさまの顧客との継続的な関係構築づくりの参考になれば幸いです。

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