昨今はSDGsの重要性が説かれ、多様性を尊重した誰もが参加できるインクルーシブやバリアフリーな社会づくりが広がっていますよね。年齢や障害の有無に関わらず、誰もが同じように過ごせることが理想ですが、現実的にはそのために様々な事前準備やサポートが必要です。
団体やグループで何か企画される際も、参加者に車椅子の方がおられると準備すべきことは多いでしょう。この記事でご紹介するのは、団体の移動手段として重宝する貸切バスでの車椅子対応である「リフトバス」です。業界最大級の利用実績を誇る、貸切バス手配サービスのバス旅ねっとが、リフト付き貸切バスとはどのようなものであるか、利用する際の注意点などを詳しく解説していきます。車椅子の方々やサポートする方々が安心して利用できるポイントを一緒に掘り下げていきましょう。
Contents
リフト付きバスとは
リフト付きバスとは、車椅子に乗ったまま乗降できるように電動リフトが設置されたバスのことを指します。乗車した後も車椅子を固定できるので、バス座席の代わりに車椅子に座ったまま移動することも可能です。どのような種類があるのか見ていきましょう。
福祉バスではミニバスやマイクロバスが利用されている
貸切バスで利用できるのはほとんどが大型バス
施設側が提供している福祉バスではなく、個人や団体が直接チャーターする貸切バスの場合、利用できるのはほとんどが大型バスです。ただし数はまだまだ少なく、全体の貸切バス車両でリフト付きバスが占める割合は数パーセントほどとなっています。大型バスの他にリフト付きの中型バス・マイクロバス・ミニバスを保有しているバス会社もありますが、かなり希少ですので簡単に借りることはできないでしょう。
公共の路線バスであればノンステップのバリアフリー化が進んでいる中、観光バス・貸切バスのバリアフリーがなかなか進まないのは、バス会社が通常のバス車両よりも高額なリフト付き車両購入するハードルが高いためです。これを是正するために、東京オリンピック・パラリンピック開催やインバウンド需要に合わせた補助金支給などの施策が行われてきたので、今後も徐々に状況が改善されることを願いたいですね。
リフト付きバスを貸切バスで利用するには?
台数が少ないとはいえ、貸切バスでもリフト付き車両をチャーターすることができるということで、気になるのはどのように利用すればよいかでしょう。ここでは料金相場や事前準備について解説します。
リフト付き大型バスの仕組み
大型バスとは、車両下部が貫通式トランクになっていて、中二階の高い位置に座席フロアがある観光バスです。リフト付き車両は、電動リフトがトランクルームに収納されており、装置を展開することでバスの中央部の扉から車椅子が乗降できるようになります。
車椅子の乗車可能台数は車両によりますが、1~6台までとなっています。利用する車椅子の台数に合わせ、事前に元々ある通常座席を撤去した状態で配車場所までお迎えに上がります。
リフトで車椅子が乗車した後は、バス乗務員が車内のレールに車椅子を固定するので、そのまま乗車席としてお使いください。もちろん車椅子を固定したまま、通常の席にお座りいただくことも可能ですので、状況に合わせてお選びください。
リフト付きバスの座席レイアウト
大型バスの一般的な座席数は、正座席45席+補助席8席をあわせた53席です。車椅子を利用する場合は1台につき座席を3~5席撤去する形になりますので、車椅子4席+正座席29席+補助席6席と、下図のようなレイアウトが想定されます。
メーカー・車種によって乗車可能な車椅子の台数や座席数は異なりますので詳細はご予約いただく際にご案内させていただきます。
リフト台(プラットフォーム)のサイズ
リフト付き大型バスの中で多い車両は、いすゞのガーラです。この車両を例にサイズを見てみましょう。
①リフト扉開口高 | 1,540mm |
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②リフト扉開口幅 | 1,090mm |
③プラットフォーム突出量 | 1,630mm |
④プラットフォーム幅 | 990mm |
⑤車いす乗車有効幅 | 750mm |
⑥プラットフォーム長 | 1,250mm |
最大昇降能力 | 300kg |
作動時間(上昇/下降) 300kg負荷時 | 18〜20秒 |
車椅子の規定サイズ
車椅子にはJIS規格の標準サイズがあります。下記の標準寸法は問題なくリフトを利用できますが、特注サイズなどの場合はご注意ください。
手動車椅子のJIS規格
全長 | 1,200mm以下 |
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全幅 | 700mm以下 |
全高 | 1,200mm以下 |
フットサポート高 | 50mm以上 |
電動車椅子のJIS規格
全長 | 1,200mm |
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全幅 | 700mm |
全高 | 1,200mm |
リフト付きは大型バスのオプションです
バス旅ねっとからご予約・お見積り依頼される場合は、専用フォームの「貸切バス条件入力」ページのバスオプション欄で、「リフト付(車椅子)」にチェックを入れるだけでOKです。オプション料金を加算したお見積りをお出しいたします。
貸切バスの料金は国土交通省により基準が定められており、利用するエリア・距離・時間によって算出されます。リフト付き車両は、特殊車両料金となるため、利用料金の1.5倍を上限とした料金設定となります。車椅子の乗降準備やサポートの費用とお考えください。
お見積り内容にご納得いただければご予約手続きにお進みください。その後バス旅ねっとがご利用のエリアでリフト付きバス車両を手配いたします。
リフト付き貸切バス利用時の注意点
貸切バスのリフト付き車両の利用方法がわかったところで、リフトバスならではの注意点についても見ておきましょう。
トランク容量や座席数が少なくなる
リフト付きバスはトランクルームの一部にリフトが収納されていますので、トランク容量は半減すると想定しておきましょう。座席数も車椅子1台につき正座席4つは減りますので、乗車できる定員数も少なくなります。
ご利用される状況によっては1台ではなく2台車両を準備した方が良い場合もあります。人数の増減の可能性も含め、お見積りご依頼時には詳しい状況をお聞かせいただければ、バス旅ねっとより最善の方法をご提案いたします。
乗降場所の選定が必要
リフト付きバスは乗降時にリフトの可動域分を確保して停車する必要があるため、通常のバス車両と比べて厳密な乗降場所選定が必要となります。またスペースだけでなく、坂道や舗装されていない道など、バス車両を水平に安定させることが困難な場所は危険なため避けなくてはいけません。
配車希望場所をお聞かせいただければ、バス旅ねっとよりバス会社と相談の上、最適な乗降場所をご提案させていただきます。ご希望の場所より少し離れた場所に設定しなくてはならない場合もありますのでご了承ください。
行程スケジュールに余裕が必要
リフトでは1台ずつしか車椅子を運ぶことはできませんので、車椅子が複数台ある場合にはその分乗降に時間を要します。また長距離移動時のトイレ休憩は通常15分ほどで設定しますが、余裕を持って30分などに設定しておくと良いでしょう。これらの少しずつの時間調整が積み重なると、全体では数時間の差が出ます。運転手の拘束時間や連続運転時間の上限は法律で定められていますので、状況によっては本来運転手が1名体制で利用可能な行程も、2名体制にする必要があるかもしれません。ご予算とスケジュールの一番良い組み合わせは、担当者と相談しながら決めていきましょう。
希少車両なので早めの予約が必須
リフト付きバスは保有しているバス会社が少ないため大変希少です。そのため、利用時期の直前の予約では、車両を手配できない場合があります。特に混雑する時期やイベントの際には、できる限り早めに予約しておきましょう。
さらにコロナ明け以降は、団体移動の需要が激増したものの、コロナ禍でバス会社の廃業やスタッフ縮小化が長く続いたため、貸切バス業界は極端な需要過多となっております。リフト付きバスやトイレ付きバストいった特殊車両はもちろん、一般車両も取り合いの状況になっていますので、まずは予約して車両を押さえておくことをおすすめいたします。
リフト付きバスを利用したお客様の声
最後にバス旅ねっとで、リフト付きの貸切バスを利用したお客様の声をご紹介します。
- 家族親族旅行がいい思い出に
- 今回家族親族揃っての旅行。70代80代が多い為、個人でバスを頼むことに 決めました。 初めてでしたので不安ばかりでしたが、また、間際になってからのやりとりで心配もしましたが、無事に楽しく旅行に行けました。 福島では、親族の家を7件廻りましたが、運転手さんもとても気持ちのいい方でまた、お年寄りの車いすの出し入れもその都度手伝っていただき大変助かりました。 個人でもこのようにバスが利用できることは大変ありがたく、又、助かります。 また次回も利用したいと思います。 こちらの要望にもその都度対応していただき有難うございました。
- 大変親切丁寧な対応に心から感謝
-
何より、急な予約とぎりぎりの手配であったのにも関わらず、大変親切丁寧な対応に心から感謝いたします。
今回の旅行は、親族の親睦旅行でした。日頃から恒例行事としてきましたが、全体的にも高齢になっていたために近年は行けずにおりました。そんな中、思い出の土地に行くことになり手配先を探しておりましたら御社に出会うことができました。
手配の中、何度も行程変更をお願いしましたが迅速に対応して頂けました。
また、行程中には乗務員の方の気配り気遣いが何より嬉しかったと申しております。
私は、親族代表の姪で同行はしませんでしたが、一緒に行けば良かったと改めて感じているところです。
旅行慣れしている一行にとっては、乗務員の運転技術の高さや車椅子を使用することや、高齢者への対応が素晴らしく皆感激しております。
今後、私個人も含め利用する機会があれば是非御社にて手配を依頼し、また同じ運行バス会社を指定したいと思います。友人知人にもお勧めしておきます。
営業担当の兼折様をはじめ、大島様、そして運行会社の山中様にも何卒宜しくお伝え下さい。
重ねて御礼申し上げます。大変ありがとうございました。
みなさまご利用ありがとうございました。以上、リフトバスの解説はいかがでしたでしょうか。この情報が高齢者の方や障害を持った方のおられる団体様の移動について、少しでもお役に立てば幸いです。
バス旅ねっとは、全国のバス会社と提携し、貸切バスご利用のお客様との橋渡しを行なう会社です。ご要望をお見積りフォームよりお聞かせいただければ、バス旅ねっとよりお見積りをご案内の上、ご予約のご依頼があれば最適なバス車両を手配いたします。またバス旅ねっとは一括見積もりサービスとは異なり、貸切バスご利用の当日までバス会社と打ち合わせが必要な内容はすべてバス旅ねっとが対応いたします。
ゼロからバス会社を探したり、バス会社との打ち合わせをしたりに不安な方は、どうぞ安心してバス旅ねっとにお任せくださいませ。