いざという時のためにバス非常口の開け方と脱出方法を知っておこう

バス非常口の開け方と脱出方法

先日タイで遠足バスの死亡事故が発生したというニュースがありました。被害拡大の要因として報じられていたのは「バス非常口が開かなかった可能性」です。普段の生活の中では色々なところに非常口や非常ドアがあり、建物であればただ開けるだけで出られるイメージがありますが、バスの非常ドアが開かないとは一体どんな状態なのでしょうか。今回は貸切バス手配サービスのバス旅ねっとが、改めてバスの非常口について深堀りしていきます。

バスの非常口に関連するニュース

まずはバスの非常口が開かなかったことにより被害が拡大した可能性のある国内外の事故やリコールについてのニュースについて見ていきましょう。

タイで起きた遠足バスの炎上事故とは?

2024年10月1日にタイの首都バンコク近郊で遠足に向かっていたバスが、タイヤバーストにより中央分離帯に衝突し炎上しました。バス車内には児童と教員が45名ほど乗っており、非常口付近で25人が亡くなっていたことから、非常口が開かなかった可能性があるとされていました。
4日に地元記者によって報じられた続報によると、バスの運営会社「チンブットツアー」が所有するバス車両を押収・検査したところ、実際に老朽化により非常口のドアが開かない車両があったそうです。

名古屋で起きた高速バス横転事故

日本でも記憶に新しいのが、2022年8月22日に名古屋で起きた高速バスの横転事故です。栄発の県営名古屋空港直行バスが中央分離帯に接触したことで横転炎上した事故で、運転手と乗客の2名が死亡し7名の負傷者が出ました。操作ミスによる過失致死傷として運転手が容疑者死亡のまま書類送検されましたが、後続車のドライブレコーダーには事故現場の数百メートル手前からふらつく様子が録画されており、運転手の体調に異変が生じた可能性もありました。
バス車両が左向きに横転した結果、通常の左側のドアはふさがり、右側の非常ドアも天井を向いてしまったため、生存者は車両最後部の割れたリヤウインドウから脱出したそうです。

日本のバスでも非常口が開かない不具合?

海外製バスに比べて日本製のバスは安全基準が高いと言われていますが、実は過去に非常口の開閉に関するリコールが出たことがあります。1つは2023年2月、兄弟車両であるセレガ(日野自動車)とガーラ(いすゞ)で届出のあった、非常口扉の室内操作ハンドル軸と駆動レバーの嵌合構造が不適切でハンドル操作時に空転し非常口扉が開かないおそれがあるというものです。もう1つは2009年1月、エアロスターS/エアロミディ-S(三菱ふそう)で届出のあった、非常口扉の車外操作ハンドルの強度が不足しているためハンドルを引張ると折損するものがあるというものです。

いずれも対象車両はすべて部品交換・動作チェックされていますのでご安心ください。非常口扉というものは緊急時だけに使うものであるため、ほとんどの車両は1度も使うことはなく、またそれが望ましいことなのですが、万が一の際に正常に動作するかどうかは重要ですね。

バスの非常口の構造は?

では次にバスの非常口設置がどのようなルールになっていて、実際にどんな構造になっているのかを見ていきましょう。

国土交通省が定めるバス非常口の保安基準

路線バスや貸切バスなどを対象にした国土交通省による道路運送車両の保安基準第26条の細目を定める告示第192条を要約すると、下記のように定義されています。

  • 非常口は客室右側面の後方に設けられていること
  • 乗車定員30人以上の車両の非常口は幅40cm高さ120cm以上であること
  • 乗車定員30人未満の幼児専用車両の非常口は幅30cm高さ100cm以上であること
  • 非常口は常時確実に閉鎖でき、非常時には内外から特別な器具を用いず開放できること
  • 非常扉は外開きで、自重により再び閉鎖しないこと
  • 非常口の下縁と床面はつまずかないよう段差の無い構造になっていること
  • 非常口付近の座席は妨げにならないよう取り外しや折り畳みが容易な構造であること
  • 非常口の付近にはその位置を開放方法を表示しなければならない
  • 灯火によ非常口の位置を表示するときの色は、緑色でなければならない
  • 非常口の扉が開放した場合は警報装置を備えなければならない

バスの非常口の構造

それではこれらの保安基準から、実際のバス車両の非常口がどのような造りになっているか見ていきましょう。

観光バスの非常口

観光バスの非常口

バス車両には客床の低い路線バスタイプと、客床の高い観光バスタイプがありますが、どちらも大型バスサイズと中型バスサイズには非常口が設置されています。観光小型バスも構造が似ているので設置されていることが多いでしょう。設置場所は路線バス・観光バスともに最後部の座席の1つ前の右側です。バス左側には通常の乗降口がありますが、路線バスの場合は前扉と中扉の2箇所なので、非常時の脱出経路が観光バスより多いと言えます。

マイクロバスの非常口

幼稚園バスの非常口

上記保安基準により、幼稚園バスを除くマイクロバスには非常口が設置されていません。ですがマイクロバスには、車両後方が観音開き式のトランクになっているタイプもあり、非常口として内側からドアの開閉ができるようになっています。

バス非常口の開け方

路線バス・観光バスともに基本の操作方法は同じ3ステップです。操作方法は非常口付近に必ず書いてありますので安心してください。車両右側の後ろにあることだけ覚えておくだけで大丈夫です。カバーをはずすとかなり大きな非常ベルが鳴り響くので不用意に触らないようご注意ください。

路線バスの非常口
  • 非常口付近の赤いカバーを引いて開ける
  • カバー内の赤いレバーを引くと非常ドアが開く
  • 非常口前にある座席を倒す
    (操作は足元のレバーを踏むなど)

なお低床タイプである路線バスは非常口の地面からの高さは低いのですが、観光バスは下部がトランクで客床が高い位置にあります。非常口から外に出る際は、1.5mほどの高さを飛び降りる形になりますので、周囲を確認しながら気を付けて降りましょう。

バスの扉を手動で開ける方法

車両の右側面に損傷がある場合など、右側の非常口が使えない時は通常の乗降口から脱出しましょう。運転手が操作できない状態であったり、エンジンが止まり開閉操作ができない状態であっても、緊急時は手動で開閉できるようになっています。路線バスの場合は非常コック内のハンドルを、観光バスの場合はステップ周辺に隠れている非常用のレバーを引くと、ドアを手で開けられるようになります。

バス非常口の今後の課題

冒頭でご紹介した名古屋の事故のケースのように、車両が横転してしまうと倒れた側のドアが開かないだけでなく、反対側にあるドアも天井に来てしまうため操作ができません。車両の幅は大型バス・中型バスが約2.5m、小型バスが2.4m。日本人男性の平均身長170cmの人が手を伸ばした高さは約204cm。座席をよじ登って非常ドアを開けたとしても、外に出るために全員が座席をよじ登れるかはわかりません。

バス非常口の位置が車両右後部が本当に適切であるかは、これまでも議論されてきました。天井に脱出ハッチを設置する案や、非常口の無い海外製車両に備え付けてあるような窓を割るハンマーを導入する案など、今後も検討の余地がありそうです。

安全な貸切バス手配はバス旅ねっとにお任せください

バスの非常口について多角的に解説してきましたがいかがだったでしょうか。貸切バス業界は過去に低価格競争の加熱からドライバーの過重労働を原因とする事故が多発したという歴史があります。そこから法改正を重ね、安全快適なバスを利用していただける体制を整えてきました。その結果ドライバー労働環境の改善や安全対策コストの確保を目的としたバス料金値上げもありました。コロナ禍以前に貸切バスを利用したことがある方は、ここ数年の貸切バス料金の高さにびっくりしてしまうかもしれませんが、安全のために何卒ご理解いただけますようよろしくお願いいたします。また逆に今でも低価格を売りにしているバス会社は、安全性のリスクが高い可能性が考えられますので、よく検討されることをおすすめいたします。

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