全国にはたくさんのアウトドアサークルや山岳会がありますが、規模が大きく登山をメインとした本格的なサークルのほとんどが大学サークル・社会人サークルともに東京中心です。それは単純に大学が多いということもありますが、標高の高い本格登山向きの北アルプス・南アルプス、八ヶ岳や富士山といった山々、関東から行きやすい甲信越方面に集中していることも理由の1つでしょう。
そのため関西でアウトドアサークルをやっていても、目標とすべき大きな山がないので、近場のハイキングやバーベキューの軽いアウトドアの集まりをするだけになってしまうかもしれません。それだと非日常感や達成感をなかなか感じることができないですよね。
そこでこの記事では、関西のアウトドアサークルで企画を考えている方に向けて、貸切バス専門の手配サービス「バス旅ねっと」が、関西の様々な登山スポットを、初級・中級・上級の3つにわけてご紹介します。
これから登山を始めたい初心者の方向けに、登山で準備すべきことや登山マナーといったお役立ち情報もありますので、ぜひ最後までお読みください。
登山計画の立て方
起伏のない自然の中をのんびり歩くハイキングと、山の中を歩くトレッキング。登山がその2つと大きく違うのは、山頂を目指すピークハントであるということです。そのためハイキングやトレッキングよりも本格的で、事前計画や事前準備をしっかりしておく必要があります。ここではまず、登山の計画を立てるにあたって必要な情報をご紹介します。自分たちにはどのような登山プランがよいか、まずはざっくりと計画してみましょう。
登山の種類
登山は山頂を目指して山を登るものですが、本格的なものにはクライミングや沢登りといった特殊な技術を必要とするものがあります。ここで紹介するものは、そのような高度な登山ではなく、登山道を登るだけの一般登山です。
この一般登山には大きく分けて、手段が4つあります。同じ場所から登って同じ場所に戻る「往復型登山」、行きと帰りでルートや場所が違う「周回型登山」、山小屋やベースキャンプに泊まって登山する「定着型」、稜線で結ばれたピークを順に踏破する「縦走型登山」の4つです。
これから登山を始めるのであれば日帰りの「往復型登山」「周回型登山」で経験を積んでいきましょう。「往復型登山」は行きと帰りが同じ景色なので単調ですが、安全で確実です。慣れてきたら「周回型登山」に進んで色々なルートを楽しみましょう。難易度は低いものの、日帰りでは行けないようなちょっと遠い山に行く場合は、麓あたりまで移動して前泊するという方法もあります。
次に難易度が低いのが山小屋などに宿泊する登山でしょう。日の出を山頂で見たい時などにおすすめです。キャンプ泊は荷物が増えるので一気に難易度が上がります。キャンプを持ち運べるほど上達したら、移動しながらキャンプ泊をする「縦走型登山」にも挑戦できますね。テント1張に複数人で泊まったりクッカーを共用したり、グループ全体の荷物を減らせるように工夫しましょう。
登山の季節選び
山は標高が高いほど気温が低く、標高2,000m級の山は5月でも雪が残るほどです。初心者は1,000m級の低山に登るとして、4月はまだ寒いのでも5月ごろからがおすすめです。6月は梅雨の時期ですが、高原植物の見頃でもあります。夏は標高の高い山も山開きとなり、登山の1番のシーズンです。標高が高めの山にも挑戦してみましょう。
9月からすぐに山は涼しくなり、寒暖差も激しくなります。初心者は標高の高い山は避け、ススキや紅葉などを楽しめる低めな山を楽しみましょう。11月からは雪が降り始めますので、初心者の登山は控えましょう。キャンプでも冬キャンプが流行ったので、スノーハイク・雪山登山には憧れますが、命の危険がありますので、十分に経験を積んで装備を揃えるまでは我慢です。アウトドアサークルではスキーやスノーボードの計画を立てるほうがいいですね。
登山パーティーの構成
大学生・社会人ともにアウトドアサークルで集まるメンバーは、経験の長さや体力にバラつきがあるでしょう。レベルが近い者同士が集まる場合もあるかもしれません。どのようなケースでも、1つの登山グループの中では必ずリーダーを立てます。みんな横並びで行動すると、いざという時の指揮命令系統がはっきりせずに危険なことが多いためです。
リーダーとサブリーダーを立てられる時は、リーダーが最後尾で、サブリーダーが先頭を歩きます。リーダー1人の時は、リーダーが先頭で、一番体力がある人が最後尾を歩きます。
その間の並びは、2番めが一番初心者で体力がない人、そこから経験・体力順に並びます。3番め以降の人が遅れ気味になった場合は2番めの位置に変えて、無理のないペースになるよう調整しながら進みます。
このように全体にしっかり気を配りながらひとまとまりで歩くには、1パーティー5~6人程度が望ましいため、数十人の大人数の場合は複数の班に分かれ、それぞれにリーダーを立てましょう。
山選び
1つの山には複数の登山ルートがあり、それぞれに難易度(グレーディング)が異なります。登山の難易度を示す指標は「体力度」と「技術的難易度」の2つがあります。 参加メンバーの状況や季節から、どのレベルの山に挑戦するか決めていきましょう。
体力度
ルート定数のスコアにより10段階に分類されています。 ルート定数の計算式は以下の通りで、登山にかかる時間と距離、高低差がすべて加味されています。
標準コースタイム(時間)✕1.8+ルート全長 (km) ✕0.3+累積登り標高差 (km) ✕10.0+累積下り標高差 (km)✕0.6
基準 | ルート定数 | 規模の目安 |
---|---|---|
1~3 | 1~30 | 日帰りができる |
4~5 | 31~50 | 1泊2日以上を推奨 |
6~7 | 51~70 | 2泊3日程度を推奨 |
8~10 | 71~ | 2泊3日以上を推奨 |
技術的難易度
登山道の状況がA~Eの段階に分類されたもので、Aが最も難易度が低くなります。
基準 | 登山道の状況 | 登山者に求められる技術 |
---|---|---|
A | 概ね整備済み 転落・滑落・道迷いの可能性が低い | ・登山装備 |
B | 転んぶと転落・滑落事故につながるような 急な登下降や沢・崖・雪渓の場所がある | ・登山経験 ・ある程度の地図読み能力 |
C | ミスをすると転落・滑落事故につながるような ハシゴ・くさり場・雪渓・渡渉箇所がある 案内標識が不十分な箇所も含まれる | ・地図読み能力 ・難所を通過できる身体能力 |
D | 転落・滑落の危険箇所が多く 厳しい岩稜や不安定なガレ場や急な登下降がある 藪漕ぎが必要な場所、雪渓・渡渉箇所がある ハシゴ・案内標識など人工的な補助は限定的 | ・地図読み能力 ・難所を通過できる技術や バランス能力 ・ルートファインディング技術 |
E | 転落・滑落の危険箇所や深い藪漕ぎが連続し 緊張を強いられる厳しい岩稜の登下降が続く | ・地図読み能力 ・難所を通過できる技術や バランス能力 ・ルートファインディング技術 ・高度な判断力 ・命綱ロープ |
登山口までのアクセス方法選び
登山する山やルートが決まったら、登山口までのアクセス方法を準備しましょう。方法は大きく分けて3つです。
公共交通機関
電車やバスは自分で運転しなくてもいいですが、自宅から山まで行くまでには何度か乗り換える必要があるので、荷物が多いと大変ですね。
運行ダイヤは、登山ができるような山間のエリアでは本数が少ない場合も多いでしょう。人気の登山スポットでは、登山口まで行く登山バスが運行している場合もありますが、路線バスがなかったり最寄りバス停から離れているすると、タクシーをつかまえるか、歩くかになってしまいます。
公共交通機関の1番のメリットは、周回型登山や縦走型登山で、スタート地点と違う場所でも気にせず下山できることです。
マイカー・レンタカー
時間を気にせず何時に出発してもOKで、前夜泊などができることがマイカー・レンタカーのメリットです。運転担当の人は疲れてしまいますが、メンバーを自宅まで送迎したり、周辺の温泉や土産店にも気軽に立ち寄れますね。
マイカー・レンタカーの一番のデメリットは、公共交通機関のメリットの逆で、スタート時に車を置いた駐車場に、帰りも帰ってこないと行けないということです。またマイカー規制がある山もあります。
貸切バス
サークル合宿が人気の貸切バスは、登山でもおすすめです。公共交通機関とマイカー・レンタカーそれぞれのメリットを足したような方法だからです。
つまり貸切バスの登山利用には下記のようなメリットがあります。
- 運転手付きなので誰も運転しなくてよい
- 利用場所は自由(ドアtoドアの利用も可能)
バスが運行できる場所に限る - 利用時間は自由(早朝深夜も可能)
- 乗降場所は自由(登山中に指定登山口まで回送可能)
- 経由地設置は自由(周辺スポット立ち寄りOK)
デメリットとしては、貸切バス利用料金が高額であることでしょう。とはいえ、参加者の交通費を全部合算すると、貸切バス1台をチャーターよりも全然高かったということもありますので、利用する場所や距離、人数の組み合わせによっては、必ずしも高額とは限りません。スケジュールが決まっている場合は一度見積もりをとってみましょう。
また貸切バスは、事前に決めたルートで運行しなければいけないことが法令で定められているため、タクシーのようにその場で行きたい場所に行くことはできませんので、ご注意ください。
関西のおすすめ登山コース11選
それでは関西近郊のおすすめ登山スポットを、初心者向け・中級者向け・上級者向けの3つに分けてご紹介します。
関西の初心者向け登山コース
ここでは登山体力度スコアが20以下のものをピックアップしました。同じ山でもコースによって難易度が違うのでご注意ください。大阪中心部からもアクセスしやすい場所ばかりなので、日帰りのプランを立てるのにおすすめです。
金剛山(大阪、奈良)
金剛山(こんごうさん)は、大阪府南河内郡千早赤阪村から奈良県御所市の間にある大阪府内最高峰の1,125mの山です。登山コースが多く整備されていますが、奈良側のルートは難易度が高いので、はじめは大阪側から挑戦しましょう。何度登っても飽きない山として人気で、日本二百名山・日本山岳遺産に指定されています。
【おすすめコース:体力度11】
百ヶ辻登山口-金剛山山頂売店-金剛山 周回コース[ YAMAP ]
標準コースタイム | ⌚ 02:38 |
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ルート全長 | 👣 4.3km |
累計標高差 | 🔺 509m 🔻 513m |
ポンポン山(京都、大阪)
ポンポン山は京都市西京区と大阪府高槻市の間にある標高679mの山で正式名は加茂勢山です。かわいい名前と高さから難易度が低そうに見えますが、そこそこの手応えがあり、縦走で周辺の山々を踏破する上級コースもありますよ。カタクリの群生地があり春が見頃です。
【おすすめコース:体力度12】
釈迦岳-ポンポン山 周回コース[ YAMAP ]
標準コースタイム | ⌚ 02:51 |
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ルート全長 | 👣 6.3km |
累計標高差 | 🔺 479m 🔻 479m |
倶留曽山(奈良)
倶留曽山(くろそやま)は奈良県宇陀群曽爾村にある標高1,037mの山で、日本三百名山の1つに挙げられます。この山はススキの名所である曽爾高原の一部です。夏の新緑のススキもきれいですが、やはり10月ごろの見渡す限りに広がる黄金色のススキが絶景ですよ。近くには「お亀の湯」という関西屈指の名湯もあるので、山登りの汗を流して帰りましょう。
【おすすめコース:体力度13】
倶留尊山-二本ボソ-亀山 周回コース[ YAMAP ]
標準コースタイム | ⌚ 03:16 |
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ルート全長 | 👣 4.8km |
累計標高差 | 🔺 549m 🔻 549m |
摩耶山(兵庫)
摩耶山(まやさん)は兵庫県神戸市灘区にある標高702mの山で、六甲山を含む六甲山地の西側に位置します。周辺にはロープウェイ・神戸市立森林植物園・六甲山牧場・布引ハーブ園などがあり観光にも適していますよ。初級から上級までコースは多様で、40km以上の六甲全山を縦走する体力度スコア85という鬼コースもあります。
【おすすめコース:体力度17】
杣谷峠-摩耶山-摩耶ケーブル下バス停 縦走コース[ YAMAP ]
標準コースタイム | ⌚ 04:13 |
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ルート全長 | 👣 6.0km |
累計標高差 | 🔺 696m 🔻 724m |
関西の中級者向け登山コース
次に登山体力度スコアが21から30までの登山コースをピックアップしました。このあたりの標高1,000m越えの山々は大阪中心部から若干離れますので、難易度的には日帰りレベルですが、余裕を持って前泊や1泊2日のスケジュールを立ててみてもいいかもしれません。
三峰山(奈良、三重)
三峰山(みうねやま)は三重県松阪市から奈良県御杖村にかけて続く高見山地にある標高1,235mの山で、日本三百名山の1つとされます。1月から3月の厳冬期には、樹木にかかる雲や霧が凍る現象である「霧氷(むひょう)」を見ることができるため、多くの登山客が訪れます。登山道も整備されているので冬山登山のデビューにおすすめですよ。
【おすすめコース:体力度20】
三畝峠-三峰山-新道峠-新道コース登山口 周回コース[ YAMAP ]
標準コースタイム | ⌚ 04:39 |
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ルート全長 | 👣 9.1km |
累計標高差 | 🔺 787m 🔻 787m |
雨乞岳(滋賀)
三重県と滋賀県の県境で1,000級の山々が南北に連なる鈴鹿山脈にあります。その中の藤原岳・竜ヶ岳・釈迦ヶ岳・御在所岳・鎌ヶ岳・雨乞岳・入道ヶ岳の7つのピークは総称して「鈴鹿セブンマウンテン」と呼ばれ、雨乞岳(あまごいだけ)はその最高峰1,238mです。最高峰なだけでなく整備された道も少ないので、雨乞岳は7つの中で一番難易度が高いです。登山ルートがはっきりしている御在所岳から始めて7つの山を順番に制覇してはいかがでしょうか?
【おすすめコース:体力度22】
武平トンネル西駐車場登山口-沢谷峠-七人山-雨乞岳-三人山 周回コース[ YAMAP ]
標準コースタイム | ⌚ 05:25 |
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ルート全長 | 👣 8.6km |
累計標高差 | 🔺 872m 🔻 872m |
伊吹山(滋賀県)
鈴鹿山脈の北には伊吹山地があり、滋賀県最高峰の1,377mの伊吹山があります。山頂にはスカイテラス伊吹山があり、ドライブやハイキング、自転車のヒルクライムでも多くの人が訪れる場所です。コースは難しくありませんが、まっすぐ登る体力がいるコースなので、夕方から登って山頂の山小屋で休み、日の出を見るというような宿泊登山もおすすめです。
【おすすめコース:体力度28】
伊吹山 正面登山道(上野口コース)[ YAMAP ]
標準コースタイム | ⌚ 05:25 |
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ルート全長 | 👣 8.6km |
累計標高差 | 🔺 872m 🔻 872m |
蓬莱山(滋賀)
「蓬莱山(ほうらいさん)」は琵琶湖の西側の滋賀県大津市にある標高1,174mの山で、日本三百名山の一つに数えられています。標高1,108mの打見山との間には、リゾート地びわ湖バレイがあり、ロープウェイやリフトを使った観光客も多く訪れます。打見山山頂の「The Main」と蓬莱山山頂の「Café 360」という、2箇所のびわ湖テラスで休憩できますよ。
【おすすめコース:体力度25】
平バス停→権現山→小女郎ヶ池→蓬莱山→志賀駅 縦走コース[ YAMAP ]
標準コースタイム | ⌚ 06:36 |
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ルート全長 | 👣 11.7km |
累計標高差 | 🔺 928m 🔻 1,295m |
関西の上級者向け登山コース
ここでは登山体力度スコアが31以上までの上級コースをピックアップしました。標高は2,000mに迫るため、体力・技術・経験と十分な装備が必要です。大阪中心部からの往復にも時間がかかるため、近隣で前泊して早朝から登り始めましょう。
大普賢岳(奈良)
「大普賢岳(だいふげんだけ)」は、奈良県南部から和歌山にかけて広がる大峰山脈、別名・大和アルプスの中にある1,780mの山です。険しい地形のため鎖場やハシゴが多く、難易度が高いです。
【おすすめコース:体力度30】
大普賢岳 和佐又〜石の鼻〜山頂〜国見〜七曜 周回コース[ YAMAP ]
標準コースタイム | ⌚ 07:25 |
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ルート全長 | 👣 9.9km |
累計標高差 | 🔺 1,230m 🔻 1,230m |
釈迦ヶ岳(奈良)
同じく大峰山の中にある「釈迦ヶ岳(しゃかがたけ)」は、標高1,800mの頂上に釈迦像が建つ厳かな山です。眼下に広がる巨岩群の五百羅漢も圧巻ですよ。鈴鹿セブンマウンテンの中にある標高906mの釈迦ヶ岳とは違いますのでご注意ください。
【おすすめコース:体力度32】
釈迦ヶ岳 往復コース[ YAMAP ]
標準コースタイム | ⌚ 07:47 |
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ルート全長 | 👣 11.4km |
累計標高差 | 🔺 1,404m 🔻 1,404m |
八経ヶ岳(奈良)
そして北の大普賢岳と南の釈迦ヶ岳の間にある「八経ヶ岳(はっきょうがたけ)」は、大峰山内だけでなく近畿圏で最高峰とされるのが標高1,915mを誇ります。標高1,895mの「弥山(みせん)」とともに挑戦してみましょう。雲海を狙うのもおすすめです。
【おすすめコース:体力度31】
一ノ峠-弁天ノ森-聖宝ノ宿跡-弥山-八経ヶ岳 往復コース[ YAMAP ]
標準コースタイム | ⌚ 07:32 |
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ルート全長 | 👣 12.4km |
累計標高差 | 🔺 1,286m 🔻 1,286m |
大台ヶ原山(奈良、三重)
大峰山脈の東の奈良県と三重県の県境には台高山脈が広がっており、その最高峰が標高1,695mの「大台ケ原山(おおだいがはらやま)」です。この山は日本百名山や日本の秘境100選に選ばれるとともに、日本三大渓谷「大杉谷」もあることから多くの観光客が訪れます。日帰りが可能なコースもありますが、途中の山小屋に宿泊する1泊2日のコースがおすすめです。
【おすすめコース:体力度47】
大杉峡谷登山口-大台ヶ原山-大台ヶ原バス停 縦走コース[ YAMAP ]
標準コースタイム | ⌚ 11:21 |
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ルート全長 | 👣 15.1km |
累計標高差 | 🔺 2,116m 🔻 834m |
登山に必要な準備
関西には初心者向けの低山から2,000m級の上級者向けの山まで、たくさんの登山スポットがあることがわかったところで、登山に必要な装備についても解説します。お手軽なキャンプやバーベキューなどと違い、短時間登山は安全のための事前準備をしっかりしなくてはいけません。登山だけでなく、ハイキングやトレッキングなどでも参考になると思いますよ。
基本的な登山装備
服装は肌を露出させないような長袖・長ズボンが基本ですが、さらにレイヤリング(重ね着)が推奨されています。
動いてかいた汗は気化熱で身体の熱をうばってしまうため、季節にかかわらず汗が乾きにくい素材の上に、気温に合わせて調節ができる素材を羽織る形です。
ベースレイヤー
肌に直接身につける、アンダーシャツやサポートタイツ、Tシャツなどです。
吸水速乾性に優れたものがおすすめです。
ミドルレイヤー
春夏はネルシャル、秋はフリース、冬は軽量ダウンなど、脱ぎ着しやすいものです。
速乾性と吸収性を兼ね備え、UVカット効果があるものがおすすめです。
アウターレイヤー
レインウェアや防寒具など、一番外側に着て、雨風などの外気から身を守る役割を持つものです。
夏でもレインウェアを持っておきましょう。
服装とは別に身につける装備として挙げられるのは下記です。
- ザック、リュック
- トレッキンググローブ(手袋)
- トレッキングシューズ(登山靴)
- 登山用靴下
- 登山用帽子
- ライト、ヘッドライト
- トレッキングポール(登山用ストック)
- サングラス
- タオル
- 折りたたみ傘
基本的な持ち物
キャンプの持ち物と似ていますが、ザックを背負って山を登るので、できるだけ軽量・コンパクトになるように工夫が必要です。
日帰り登山を予定していても想定外のアクシデントで下山できない場合があるので、ビバークと呼ばれる緊急の簡易宿泊が必要になるかもしれません。そのために非常食や簡易テントやといった装備も備えていかなければいけません。テントが難しければ、小さく畳めてかさばらない防寒シートだけでも持っておきましょう。
- 行動食(飴、ナッツ、チョコレートなど)
- 通常食(おにぎり、パン、レトルト食品など)
- 非常食(乾パン、栄養補助食品など)
- 水
- ガスコンロ
- クッカー
- ライター、固形燃料
- 万能ナイフ
- トイレットペーパー
- ビニール袋
- カイロ
- 救急キット
- 腕時計
- 登山用コンパス
- 地図
- 筆記用具
- モバイルバッテリー&充電ケーブル
- ツエルト(簡易テント)、エマージェンシーシート(防寒シート)
山中ではスマホの電波は入らないことがほとんどですが、GPSであれば携帯電波にかかわらず位置情報がわかります。『YAMAP』などの登山用GPSアプリを事前にインストールしておきましょう。
オフラインで使える地図やルートナビゲーション、歩いた軌跡や現在地、現地各処のフィールドメモ投稿機能など、登山に必要な便利機能が満載です。
それでもスマホの電池がなくなると使えないので、アナログの腕時計・登山用コンパス・地図・筆記用具なども持っておいた方が安心です。
水の運び方
登山中には食料と同様に水が重要とは考えられるものの、初めてだとどのぐらいの量をどのように運べばいいのかイメージがつきませんよね?
まずは量から見ていきましょう。登山中にどれほどの量の水分が身体から失われるかについては、下記のような計算式で求めることができます。
脱水量=体重(kg)×行動時間×5(ml)
給水量としてはその7~8割で良いので、たとえば体重60kgで5時間の行動で必要な水の量は下記のようになります。
60kg×5時間×5ml×0.8 = 1,200ml
500mlのペットボトルが2、3本必要ですね。山中には飲み水が出ている水場がありますが、生で飲む水ではなく、煮沸して使える水と考えておきましょう。季節によっては十分な水量がない場合もありますので、初めての場所では水場をあてにし過ぎないようにしましょう。
必要な水量を持ち運ぶ手段には下記の方なものがあります。
ペットボトル
コンビニや自動販売機などで購入したままの状態です。
空になったらコンパクトにつぶせるものがおすすめです。
プラスチックボトル
再利用ができ、水以外にも行動食を入れたりできる、軽量ボトルです。
カラフルなナルゲンボトルが人気です。
ステンレスボトル
重くてかさばりますが、保温できるので、冬山で重宝するボトルです。
使いやすい登山用モデルも出ていますよ。
ソフトフラスク
ペットボトルほどの大きさですが、水が減ると小さくなる真空のソフトパックです。
ザックのフロントポケットに差したまま飲めますが、使ったあとに洗いにくいのが難点です。
ハイドレーション
本体をザックに入れ、外に出したチューブから水を飲むタイプのソフトパックです。
ソフトフラスクよりもさらに洗浄や乾燥に手間がかかります。
登山のマナー
最後に初めての登山で知っておかなければいけないマナーやルールをご紹介します。
登山届の提出
登山届とは、万一の遭難時に、第三者に登山者の情報を伝えられる手段で、山によっては条例で提出が義務付けられています。
登山計画書に必要事項を記入し、所轄の警察署や登山口に設置されたポストに投函する形が一般的ですが、今はスマホアプリとWebサービスがあるので簡単ですよ。
公益社団法人日本山岳ガイド協会|Compass(山と自然ネットワーク・コンパス)
https://www.mt-compass.com/
また重要なのは、身内に行き先を告げておくことですね。遭難という最悪の事態になってしまっても、捜索願が出されなければ山岳救助隊に探してもらうこともできません。Compassでは、下山予定時刻に登山者本人から下山通知が押されないと、3時間後ごとに登山者へ催促メールが送られ、7時間経つと緊急連絡先に下山未確認のメールが送られる仕組みなので安心です。
山岳保険への加入
山には危険が付きものです。山岳保険への加入も登山者のマナーの1つといえるでしょう。基本的には山岳登はん中の事故や怪我に対する補償、特約には周囲の人やモノに損害を与えてしまった時の「個人賠償責任補償」や、「携行品損害補償」「遭難捜索費用補償」などがあります。
登山をする頻度に合わせて1dayのものから1年更新のものまで色々ありますので、登山スタイル似合わせて選びましょう。
草木を持ち帰らない、ゴミを残さない
登山の心得として”Take nothing but photographs, and leave nothing but footprints.”という言葉があります。日本語訳で「とっていいのは写真だけ、残して良いのは足跡だけ」という意味です。
生態系や自然環境のことを考えて、山に生えている草花だけでなく石ころの1つも持ち去ってはならず、ゴミを残してもならないという標語ですね。山に入る時と出る時に、靴に付いた土や砂も払うぐらい気をつけましょう。
登り優先、山側で待機
登山道では登りと下りで登山者がすれ違う時があります。その場合には一定のペースを保ちたい登っている人が優先になりますので、下っている人は山側によって退避しましょう。パーティーが1列になることもマナーです。
また登山者同士、情報交換や手助けが必要になることもあるので、挨拶することがマナーと言われています。ですが登っている人は息が切れて挨拶もままならないかもしれませんので、下っている人は登っている人の挨拶を待ってみましょう。相手が苦しそうであればお辞儀だけにしておき、相手に気を遣わせないことも大事です。
関西のおすすめ登山スポットと、初心者向けのガイド情報はいかがでしょうか?登山未経験者ばかりのアウトドアサークルでも、低山なら行けそう気がしませんか?とはいえどんなに難易度の低い登山にもリスクや危険は伴いますので、安全に十分な注意を払いながら楽しんでくださいね。登山当日は天候や体調などの急な変化もあると思いますので、そんな時は無理せず勇気ある撤退を選びましょう。
貸切バスでの移動であれば、登山でクタクタに疲れていても体調不良者がいてもスムーズに帰ることができますよ。運転はすべてプロドライバーに任せるので、帰り道の車内では寝てもよし、飲食・飲酒をしてもよし、ゆっくり寛いでください。貸切バスには、乗車人数や用途に合わせて色々な種類がありますので、お気軽にご相談ください。登山のスケジュールが決まっている場合は、お見積りフォームからのお問い合わせがスムーズです。