前回の記事では高速道路で貸切バスをお得に利用する方法を紹介しましたが、今回はどんな貸切バスの使い方をしても必要になる豆知識、貸切バスの定員数について話をしてきたいと思います。
グループ旅行や合宿の企画を任された幹事さんは、初めて貸切バスを利用するという方も多いはず。
でも貸切バスにはどんな種類があって、1台に一体何人乗ることができるのかも全く想像もつかないかもしれません。
貸切バス車種タイプ別の定員数と適した使い方を知っておくと、利用目的に合わせた最適なバス車種を選択することができますので、無駄な貸切バスの費用が発生せず、貸切バス選びで失敗しなくなりますよ。
貸切バス企画の参加者の皆さんに満足していただけるように、貸切バス専門のバス旅ねっとがわかりやすく解説していきますね。
貸切バスは車種によって定員数が違う
貸切バスの車種には大きく分けて、大型バス、中型バス、小型バス、マイクロバス、ミニバスの5種類があることをみなさんご存じですか?さらに同じ車種でもメーカーによって車体のつくりや搭載設備により、座席レイアウトは各車種1パターンというわけではないんです。さらに希望の座席レイアウトがあっても、利用するエリアのバス会社が保有している車両にはその座席レイアウトの車両は無い、という場合もありますので、スケジュールが決まられている場合にはお早めにご予約されることをおすすめいたします。
詳しい説明に入る前に、まずバスの定員数の定義についてもお話しておきましょう。乗車定員数とは、車検証の定員欄に記載されている人数のことであり、メーカーが製造する車種により登録されている定員数は異なります。あとから改造して座席を増設した場合はきちんと届け出が必要です。
そのため定員数とはその車両に乗って良い最大の人数を指しており、車両ごとの定員数を下回ってさえいれば、1台の貸切バスを何人で利用していただいても大丈夫です。それでは車種ごとの特徴と定員数を見ていきましょう。
観光仕様の大きめの貸切バス
貸切バスの5つの種類は、さらに2つのグループに分かれます。まずご紹介するのは修学旅行のバスや夜行バスでおなじみの観光仕様のバスからです。貸切バスというとこのタイプをイメージされることが多いかもしれません。観光仕様の特徴は、シートがゆったりしていて長距離移動に向いていること、トランクルームが座席ルームと分かれていることです。大きさは3タイプあり、それぞれ定員数が異なります。
大型バスの最大定員数やスペックの紹介
観光バスの中でも一番大きいサイズが大型バスです。設備やオプションも多く快適さはNo.1ですが、実はコスパもいいんです。車両自体の料金は貸切バスの中で一番高いですが、一番たくさんの人数が乗れるので、1人あたりの料金が安くなるためです。
車体サイズ | 全長約12m×車幅約3.7m×車高約2.5m |
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貸切バス料金区分 | 大型 |
高速有料道路料金区分 | 特大車 |
主要車両メーカー | セレガ(日野自動車)/ガーラ(いすゞ自動車)/エアロクイーン:スーパーハイデッカー、エアロエース:ハイデッカー(三菱ふそう) |
定員数 | 最大53~60名 正座席45~49名+補助席8~11名 |
トランク大きさ | 2~3本貫通式トランク スーツケース約30~40個 |
レイアウトパターン | トイレ付き車両、リフト付き車両、サロンレイアウト |
こんな時におすすめ | 荷物が多い部活の合宿、30名以上の社員旅行など |
バス会社が保有する大型バス車両で一番多いのは正座席が45席、補助席が8席の53人乗り車両です。定員数の最大は正座席49席、補助席11席の60人乗り車両ですが、保有していないバス会社も多いためてレアな車両となります。利用する地域によっても保有率が違うため、60人乗りを希望する場合は、バス旅ねっとのような提携バス会社の多い手配サービス会社に、できるだけ早めにご相談されることをおすすめいたします。
中型バスの最大定員数やスペックの紹介
観光バスの中で大型バスよりひと回り小さく、街中を走る市バスと同じぐらいのサイズが中型バスです。大型バスが必要なほど大人数ではないが、長距離を快適に移動したい場合に適しています。
車体サイズ | 全長約9m×車幅約3.5m×車高約2.5m |
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貸切バス料金区分 | 中型 |
高速有料道路料金区分 | 大型車 |
主要車両メーカー | メルファ(日野自動車)/ガーラミオ(いすゞ自動車)/エアロエースショートMM(三菱ふそう) |
定員数 | 27名 補助席なし |
トランク大きさ | 1~2本貫通式トランク スーツケース約15~30個 |
レイアウトパターン | サロンレイアウト |
こんな時におすすめ | 25名程度の観光旅行、道具の多いスキーやゴルフなど |
中型バスは補助席は無く、全員が正座席に座れることが特徴です。車両は27人乗り車両が基本で、28人乗り車両は少めです。乗車予定人数が28人以上の場合は、大型バスを利用することになりますので、人数が増えそうな場合は大型バスを予約しておくことをおすすめいたします。
小型バスの最大定員数やスペックの紹介
貸切バスの料金区分やサイズ感はマイクロバスと同じでありながら、観光バスの快適さを兼ね備えているのが小型バスです。チャーター料金が安いのでニーズは高いですが、すでに各メーカーの生産が終了しているため古い車両しか残っておらず、数も少ないためなかなか空きがない場合が多いです。
車体サイズ | 全長約7m×車幅約3.3m×車高約2.4m |
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貸切バス料金区分 | 小型 |
高速有料道路料金区分 | 中型車 |
主要車両メーカー | レインボー7M、メルファ7(日野自動車)/エアロミディMJ(三菱ふそう) |
定員数 | 21~25名 補助席なし |
トランク大きさ | 片側トランクor1本貫通式トランク スーツケース約3~15個 |
レイアウトパターン | サロンレイアウト |
こんな時におすすめ | 10~20名程度の長距離試合遠征、グループ旅行など |
小型バスも補助席は無く、全員が正座席に座れます。ほとんどが25人乗り車両で、次に多いのは21人乗りです。保有しているバス会社は少なく古い車両になってしまうので、短時間であれば同じ料金のマイクロバス、長距離であればワンランク上の中型バスにされるのがおすすめです。
送迎仕様の小ぶりな貸切バス
続いてご紹介するのは、観光設備がないシンプルな送迎仕様の貸切バスです。トランクやシートのリクライニングがないためたくさんの荷物を運んだり快適に移動することには不向きですが、その分車両のサイズは小さく、市街地の細い道路などでも問題なく団体移動ができます。メーカーや車両タイプにより定員数は様々です。
マイクロバスの最大定員数やスペックの紹介
宿泊施設のシャトルバスなどでよく利用されているマイクロバスは、小さな車体を活かして小回りが利くので、近場の送迎用途に人気です。ロケバスやイベント送迎のようなビジネス用途の需要が高いのも特徴です。
車体サイズ | 全長約6~7m×車幅約2.6m×車高約2.1m |
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貸切バス料金区分 | 小型 |
高速有料道路料金区分 | 中型車 |
主要車両メーカー | リエッセⅡ(日野自動車)/ジャーニー(いすゞ自動車)/ローザ(三菱ふそう) |
定員数 | 最大21~27名 正座席16~21名+補助席5~6名 |
トランク大きさ | 観音扉式トランク※一部車両のみ スーツケース約10個 |
レイアウトパターン | トランク付き車両 |
こんな時におすすめ | 10~20名程度の冠婚葬祭送迎、日帰り周遊旅行、ロケバスなど |
マイクロバスは正座席が21席、補助席が6席の27人乗り車両が一番大きいサイズです。トランクルームが無いため車両後方を荷室としている車両もあり、その場合は乗車定員が20~23人となります。このようにメーカーや保有している会社によって、レイアウトのバリエーションが多いのが特徴です。荷物が多い場合は、車内の空席に置くことになるため、心配な方は中型バスの利用を検討しましょう。
ミニバスの最大定員数やスペックの紹介
ミニバスはコミューターなどのバンタイプの車両です。マイクロバスよりさらに小さく機動力にすぐれているため、少人数の送迎に最適です。観光仕様ではありませんが、革張りのVIP仕様になった車両やサロンレイアウトが可能な車両もありますので、大事なお客様の送迎も安心です。
車体サイズ | 全長約5.4m×車幅約2.3m×車高約1.9m |
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貸切バス料金区分 | 小型 |
高速有料道路料金区分 | 中型車※ジャンボタクシー、ワゴンタクシー |
主要車両メーカー | ハイエースコミューター(トヨタ)/キャラバン(日産) |
定員数 | 最大9~13名 補助席なし |
トランク大きさ | 観音扉式トランク※一部車両のみ スーツケース約10個 |
レイアウトパターン | サロンレイアウト、補助席のトランク利用 |
こんな時におすすめ | 10名前後のVIP送迎、巡回視察、ロケハンなど |
ミニバスは乗用車をそのまま大きくしたものに近く補助席はありません。乗用車は最大7人までしか乗車できませんが、ミニバスには9人乗りや13人乗りがあり、ちょっとした移動に利用しやすくなっています。このサイズはジャンボタクシーやハイヤーで利用されることが多いため、バス会社が保有している台数は全国的に少なくなっています。同じ料金区分でひとまわり大きいマイクロバスの方がおすすめです。
オプションや設備によって座席レイアウトは変化する
貸切バス車両ごとに基本となる定員数を見てきましたが、実際の座席レイアウトをもっと詳しく見ていきましょう。車内の設備内容により座席数が変わる場合があります。
大型バスのリフト付きトイレ付きの場合は?
大型バスには車いすを持ち上げるリフトや、簡易トイレが搭載されている車両があります。車両内の面積を設備で仕様するため、座席数は通常よりも減ります。
簡易トイレは使用回数上限が決まっているため、緊急時を除いてほとんど利用しなかったというケースも多いので、トイレを設置するよりも座席を増やし、長距離の場合は休憩を多めにとるスケジュールにすることをおすすめいたします。
荷室がある送迎バスの場合は?
マイクロバスやミニバスにはトランクがありませんが、車両によっては小さな荷室が付いていたり、補助席をトランク代わりに使用したりすることができます。その場合も車両内の面積が減るので、座席数は通常より少なくなります。手荷物が多い場合や、定員数をフルに使いたい場合は、小型バスや中型バスの利用をおすすめいたします。
サロンレイアウトでは座席数は変わらない
大型バスや中型バスではサロンレイアウトのオプションをつけることができますが、こちらは後方の座席をコの字型になるように回転させるだけなので、座席数自体は変わりません。中央にテーブルを置いても座席数が変わらないのは得した気分になりますね。
貸切バス補助席を利用する時の注意点
貸切バス定員数の内訳にあったように、座席には正席と補助席というものがあります。定員数を考える場合、補助席も含めて乗車人数を計算して問題ありませんが、注意が必要なケースがあるためお伝えしておきます。
シートベルトがない補助席が存在する
みなさんご存じの通り、2008年6月の道路交通法改正により一般道や高速道路を問わず車両の走行にはシートベルトの着用が義務付けされていますが、路線バスに限ってはシートベルトの設置・装着の義務はありません。たくさんの人が乗り降りするため、利便性が考慮されたのでしょうね。
ですが高速バスや貸切バスなどには、一般の車両同様にシートベルトの設置・装着義務があり、シートベルトが設置されていないバス車両はナンバーを取得できません。そのため貸切バス車内では、路線バスのように立って乗ることはできず、必ず1人1席を確保しなければいけないのです。
では補助席の扱いはどのようになっているのでしょうか?実は補助席へのシートベルト装着が義務付けられたのは、2016年11月の道路運送車両の保安基準等の改正からとなります。現在運行しているバス車両はそれ以前に製造されたものがほとんどであるため、シートベルトが付いていない補助席はたくさんあります。
高速道路でシートベルトを装着していないと、バス会社は行政処分を受けてしまいますので、高速道路を利用する行程の場合、補助席は利用できないと考えておいた方が良いでしょう。
貸切バスで損をしないに知っておくべきケース
貸切バスの車種ごとの定員数や、座席レイアウトについての説明ができたところで、損をしてしまうケースと得になるケースを見ておきましょう。貸切バスを利用した旅行などの計画の場合、乗車予定人数や手配できるバス車両を、幹事さんがコントロールすることは難しいかもしれませんが、事前知識として知っておくと、ちょっとした差が出るかもしれません。
貸切バスで損をしてしまうのはどんな時?
貸切バスの料金は、1台をチャーターした費用として計算されるため、定員数内の何人で乗ってもかかる費用は同じです。そのため定員数よりも少ない人数で乗車すればするほど、1名あたりのコストが高くなってしまい、下記のようなケースの場合はコスパが悪くなります。
30名で貸切バスを利用する時
ほとんどの中型バスの定員数は27名で、運転手を含めて29名以内となっています。30名以上になると、高速料金区分が「特大車」になってしまうためですね。そのため丁度30名で貸切バスを利用したいという場合は、大型バスを利用する方法しかなく、最大で60名乗ることができる大型バスからすると、半分の人数で利用することになり、1人あたりのコストが倍になってしまうんです。
30名集まってしまってから人数を削るのは難しいので、計画段階でそのあたりを念頭に置いておいてくださいね。
54名で貸切バスを利用する時
続いては大型バスの定員に収まらないケースです。大型バスには60名乗りの車両がありますが、こちらは保有しているバス会社が少ないため、利用する地域と時期によって手配できるかわかりません。
一般的な53名乗りの大型バスしか手配できない場合、54名で利用しようとすると、27名乗りの中型バスを2台手配する形になります。
大型バスの53名というのは補助席を入れての乗車人数のため、正座席の中型バス2台の方が快適ではありますが、1人あたりのコストは1.5倍以上になってしまいます。
貸切バスで得をするのはどんな時?
ではお得に貸切バスを利用できるのはどんな時かというと先程の逆ですね。できるだけ定員数いっぱいの人数で利用したいものですが、そのためには希望のバス車両の確保が重要です。バス旅ねっとのような全国の提携バス会社の中からマッチした貸切バスを予約できるサービスを利用し、企画段階などできるだけ早い時期に車両を確保しておきましょう。お得になる具体例はこちらです。
各車種の最大定員数で貸切バスを利用する時
各車種や車両ごとに定員数は異なりますが、わかりやすいように大型バスの1人当たりの料金が、乗車する人数の違いによってどのぐらい差があるか計算してみました。定員数いっぱいで利用するとお得ではありますが、補助席に乗る人は窮屈かもしれません。
こちらは大型バス1台のチャーター料金目安である86,940円(関東で6時間150km利用の場合)から算出しています。
大型バス乗車人数 | 1人あたり料金 |
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60名で利用(正席+補助席) | 1,594円 |
53名で利用(正席+補助席) | 1,804円 |
45名で利用(正席のみ) | 2,125円 |
希少な小型バスに空きがあった時
観光仕様の貸切バスに25名で乗車した時の料金目安を見てみましょう。1つ前の表と同じく関東で6時間150km利用の場合という条件で、車種別の料金を比較してみました。
こちらの表に送迎仕様の貸切バスは含んでいませんが、小型バスとマイクロバス・ミニバスは同じ料金区分のため、省略しました。トランクルームが分かれていれば座席を手荷物で潰してしまうこともありませんし、シート自体も快適なので、同じ料金であれば小型バスの方が断然お得ですよね。
ただし小型バスは前述のとおり製造が終了しているため、保有しているバス会社が少なく、古い車両でありながらも希少なため、マイクロバスより料金が高い場合もあります。ご利用の地域によってかなり状況が変わりますので、まずはバス旅ねっとスタッフまでご相談ください。
25名乗車の貸切バス車種 | チャーター料金 | 1人あたり料金 |
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大型バス | 86,940円 | 3,825円 |
中型バス | 74,340円 | 3,271円 |
小型バス | 62,480円 | 2,749円 |
目的にぴったりの貸切バスを選ぶことが大切
今回の記事は貸切バスの定員数について深掘りしてみましたがいかがだったでしょうか?
何人で貸切バスを利用するかによって乗車可能な貸切バス車種は変わりますが、荷物の多さや移動時間の長さなども考慮しながらベストな車両をお選びいただければと思います。コスパと快適性のどちらを重視するかによってもバス車両選びはかなり変わってきますので、お気軽にご相談くださいね。
この記事のまとめ
- 車両の定員数とは車検証に記載されている最大乗車可能人数である
- 定員数は、正席と補助席の合計数で、補助席がない車種もある
- 貸切バスには5つの車種があるが、同じ車種でもメーカーにより定員数は様々
- 定員数以下なら貸切バスを何人で利用してもよいが、少ないと1人あたりの料金が高くなる
- 希望の貸切バス車両を保有しているバス会社が利用エリアに存在するか早めの確認が重要
バス旅ねっとは全国の貸切バス会社と提携し、ご要望に合わせた貸切バスを手配するサービスです。最終的なやりとりをバス会社と直接しなくてはならない一括見積もりサービスとは異なり、貸切バスご利用の当日まで、バス会社と幹事様の間に立ってしっかりサポートさせていただきます。
貸切バス利用について気になることや不安なことがあればなんでもご相談ください。具体的に団体旅行などのスケジュールが決まられている場合は、お見積りフォームからのお問い合わせがスムーズです。