2026年現在、東京の交通網整備は新たな局面を迎えています。長らく静岡工区の着工協議が焦点となっていたリニア中央新幹線は、2026年7月に静岡県の鈴木康友知事が県内着工を容認する考えを表明し、品川〜名古屋間の開業時期は最短で2036年という見通しが示されました。かつて2020年の東京五輪を見据えて新幹線やリニアなどの交通網整備が盛んにニュースになっていた時期がありましたが、あれから月日が流れ、いよいよ着工に向けて動き出したかたちです。
そんな中、こんな記事が出ていたことを覚えていらっしゃいますでしょうか。
都心の疲れ、癒やしにおいで 来春、東京・大手町に温泉
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地下1500メートルの深いところからコストをかけて、わざわざ掘削してまで温泉施設を作る。この記事では「皇居ランナーだけでなく、都心で働く人たちが疲れを癒やす場にしたい」とその意図が説明されていたが、その裏では後の東京五輪を見据えた上での計画ではないかとも考えられ、掘削申請の数も増えてきている様子です。
「東京五輪」「訪日外国人客(インバウンド)」の2つは密接に関連する重要キーワードと、簡単に想像できるところですが、そこに「温泉施設」を絡めることは想像できますでしょうか?
そこで今回は、東京の地下深くから湧き出た温泉が与える魅力を下記の内容でお伝えし、これからの日本の観光を考えるきっかけになったり、個人で東京を楽しむお役立ちになったりすればいいなと思います。
東京における大深度温泉の魅力
そもそも大深度温泉とは何か
温泉は江戸時代にも文化として残るほど歴史が長い。しかしながら、大深度ともなれば歴史は浅い。温泉地学研究所によると大深度温泉の定義は下記のようになっています。
大深度温泉とは、深度1000メートル以上の掘削により温泉を採取しているものをいいます。近年、掘削技術の進歩により1000メートルを超える大深度温泉が増加しており、従来温泉地でなかった地域に温泉が出現する傾向にあります。
神奈川県温泉地学研究所
まさに技術の進化の賜物ということで、これまで温泉地でなかったところに湧き出るというところが新しい考え方ですね。東京の大手町はビジネス街。あんなところに温泉が、と話題になるのもうなずけます。
都心で温泉を掘る意味
ただ、私の中では疑問が残ります。
正直、皇居ランナーやビジネスマンの癒しであれば、温泉でなくとも一般の入浴施設でもニーズは満たせるのではないか、と。今となってはスーパー銭湯がフランチャイズ化してあちこちにありますが、「温泉分析票見せてください」といっても「うちは温泉ではないんです」という施設もあります。そもそもスーパー温泉ではないので、温泉でなかったとしても普通ですよね。しかも、癒しやリラックスというニーズはキッチリ満たされる。やはり、都心に温泉っているのか、というのは疑問です。
そこで経営的観点ではないですが、利用者目線で考えられるメリットは以下のとおりではないでしょうか。
1.湯治文化を身近に感じられる
昔ながらの治療法に湯治というものがあります。たとえば皮膚病に効果があるといわれる温泉があったとして、1回使って直るというのはまず可能性としては低いでしょう。そこで、2~3週間継続して温泉入浴するサイクルを作って治療経過をみていくということが考えられます。自宅から近いところや通勤帰りに立ち寄れる場所にあれば、湯治文化をより身近に体験できるといってもいいかもしれません。インバウンドの方にとっても、仮に東京を拠点で1週間滞在となった場合、単にホテルに宿泊するだけでなく文化を感じていただけるということにもつながります。(ただ、和を感じてもらえる工夫もいるかもしれませんが)
2.ツルすべ感のある濃い温泉を感じられるかも
海岸に近いところで温泉掘削を行うと、海水に成分が近い温泉に行き当たる可能性が高まります。ということは前回の記事でお伝えした「塩化物泉」である可能性が高いわけです。塩の成分が濃いと肌がコーティングされたように肌が引き締まった感覚になり、ツルすべ感を感じることがよくあります。なめてみるとしょっぱく、普通のお湯に入っているときとは違う感覚になり精神的にも満たされるのではないでしょうか。これは日本人でも訪日外国人でも共通して得られるメリットかと考えます。※東京23区は比較的海岸近くにあるので、強い塩化物泉も今後多くなるのではと想像できます(実際にデータが出ないと確定できませんが)
3.温泉に興味を持ってもらう入り口となる
温泉は奥が深く、温泉の泉質にも種類があれば、湯船など施設自体にも特徴があり、さらに広がればその温泉が存在する立地が都心にあるのか郊外にあるのかの違いなどで感じる印象が変わります。単に旅行の1プランとしてだけでなく、自身の健康計画、コミュニケーションの場として活かせる可能性を秘めています。「都心の温泉はこうだった」「地方の温泉はこうだった」など、お酒の飲み比べや、カフェのコーヒー豆の比較のように、興味が広がっていくことでしょう。日本人であれインバウンドの方であれ、人が溢れる都心に温泉ができれば、興味を持つきっかけができます。
東京の大深度温泉の紹介
羽田空港から近い天然温泉平和島
ここまで、大深度温泉自体について書いてきましたが、このあたりで
私が実際に行って、「これこそ東京の大深度温泉」と思った施設を紹介します。

天然温泉 平和島
http://www.heiwajima-onsen.jp/
塩の成分が濃く湯ざわり感がよい
海岸に近いこともあってか成分が濃い塩化物強塩泉。なめるとしょっぱく塩感がある。肌触りもすべっとした感覚で温泉に入っている気持ちが高まります。
弱アルカリ性で美肌にも
ph7.5~8.5の間にある弱アルカリ性は角質をおとすクレンジング効果があるといわれており、ここもそれに該当します。
都心の入浴施設に求めているものが「体・頭を洗える」「体を癒す」という最低限のものだったので、お湯の良さを肌で感じたときに期待を上回りました。これがリピートして慣れてくるとどうか、というものもあるが観光で訪れた者としては都心温泉の印象が変わったいいひと時でした。
羽田空港とのシャトルバス送迎があるようなので使ってみるとよいかも。
そして、平和島を起点にジブリの森やスカイツリーをめぐる貸切バスツアーを組まれるのも1プランかもしれません。
【2026年追記】東京の交通網整備とリニア中央新幹線の進捗
この記事を最初に公開した頃、東京の交通網整備といえば2020年の東京五輪に向けた新幹線・リニア中央新幹線の話題が中心でした。それから月日が流れた2026年現在、状況は大きく動いています。静岡工区の着工に向けた協議が長らく続いていたリニア中央新幹線ですが、2026年7月7日に静岡県の鈴木康友知事が県議会で県内着工を容認する考えを表明し、JR東海との自然環境保全協定の締結に向けた動きが進みました。JR東海は年内の着工を目指していますが、静岡工区は難工事が見込まれるため、品川〜名古屋間の先行開業は最短で2036年になる見通しです。
貸切バスでの東京観光は、こうした新幹線・リニアといった大型交通インフラの整備状況に左右されず、宿泊先や温泉施設、観光スポットを自由に組み合わせて回れることが強みです。大深度温泉を巡るプランも、リニア開業を待たずに今すぐ実現できる旅のスタイルとしておすすめです。
出典: 日本経済新聞「リニア静岡工区、県着工容認へ 2036年開業へ官民「加速」の協議決着」、毎日新聞(Yahoo!ニュース)「リニア静岡工区、知事が着工容認 前進も完成に約10年の難工事」
本日のまとめ
東京五輪が決まったからか、訪日外国人客が多くなったからか、可能性はいくつか考えられるにしても温泉掘削が流行っています。
近年の掘削技術の進歩が、温泉地でないところを温泉地にしてしまう。東京のビジネス街も例外でなく、こんなところに温泉が出るなんてという驚きと喜びを与えてくれる。しかし、冷静になるとワザワザ掘ってまで温泉である必要はあるのか(有限の資源だから枯渇問題も視野に入る)と疑問も出る。
必要か必要でないか、現段階で100%の答えは出ないにしても、温泉の可能性が広がっていることは確かではないでしょうか。趣味に、健康に、ビジネスに、様々な角度から温泉を見ていくとその奥深さにハマる自分の一面が見つかるかもしれません。
それでは!
バス旅ねっとで貸切バスを手配する際は、東京都の貸切バス手配ガイドもあわせてご確認ください。

